【会期終了】藤田嗣治作品展【 大阪店 】
~黒い瞳のパリジャン~
藤田嗣治作品展
3月24日(金)~4月6日(木)
11:00~20:00
会場:翠波画廊 大阪店
※終了いたしました
20世紀初頭、芸術の街パリで瞬く間に一世を風靡した唯一の日本人画家、藤田嗣治。
この度翠波画廊 大阪店では、墨を使って描かれた貴重な作品をはじめ、油彩、グワッシュで描かれた作品や、傑作と呼び声高い版画作品まで、藤田の様々な表現を一堂にご覧いただける展覧会を開催いたします。
ぜひこの機会にご高覧ください。
藤田嗣治 作品一覧はこちら >>
フランスで開花した墨の名品
当時の日本人画家は、パリに行った経歴を持つことで日本に戻ってからの出世を望むことが一般的であった中、パリで成功することを目標に海を渡った藤田嗣治。
その決意と、日本人である誇りの表れが墨だったのではないでしょうか。
藤田が自身のアイデンティティともいえる墨を用いて丁寧に描いた少女の姿からは、藤田のあふれる情熱とともに、確かな生命力ともいえる存在感、そして何より穏やかな愛情さえ感じられます。
制作年ははっきりしていない作品ですが、画風から、おそらく戦後、パリに戻った後に描かれたものではないかと思われます。また、1959年にカトリックの洗礼を受け、洗礼名がレオナールとなった後は、作品のサインに「L」を追加するようになることから、それよりも前の一時期に描かれたものかもしれません。
貴重な一時期に描かれた本作は、色彩がない分、見る人に限りない想像力をもたらします。
藤田作品の中でも特に人気の高いモチーフである少女。凛とした気品さえ感じさせる表情に、確かな描写力で描かれた衣服の質感まで、藤田の確かな腕を感じさせる逸品です。
傑作と呼び声高い貴重な一枚
繊細でなめらかな描写によって、藤田渾身の裸婦をテーマに描かれた一枚。
うっとりと眺めてしまう女性の美しさもさることながら、背景のカーテンの奥から顔をのぞかせる表情豊かな動物たちも魅力的です。
本作品の原画が描かれたのは1948年。
戦争画を積極的に描いたことで、終戦後に日本で批判の的となった藤田は、この頃、二度と日本には戻らないと決意し、フランスへと渡ります。
人生の岐路となった時代に描かれた本作品は、藤田が絶賛された1920年代の乳白色の裸婦像を彷彿とさせます。
最初の成功から20年以上の月日が流れていましたが、もう一度フランスで画家として成功しようとする、藤田の気概までもが伝わってくるような作品です。
世界中で大人気の猫シリーズ
藤田嗣治の代表的なモチーフといえば「猫」。
その鋭い観察眼と見事な描写力が発揮された猫の作品は、藤田の猫に対する温かな眼差しが感じられます。
なかでも今なお高い人気を誇るのが、1930年にニューヨークにて出版された「猫の本」です。
藤田の素描をもとに、なめらかな濃淡と深みのある質感が表現できる”コロタイプ”という版画技法を用いて制作されました。
一匹一匹の猫の表情やしぐさ、柔らかな毛並など、藤田らしい表現をじっくりと堪能できる作品です。90年以上前の作品ですが、現在も藤田の愛好家のみならず、猫好きの方へ幅広く愛され続けています。
また、翠波画廊では、本の状態で入手をしておりますので、真贋についてもご安心してお求めいただけます。
「猫の本」 一覧はこちら >>
ユーモア溢れる子どもたち
藤田が晩年に制作した「四十雀」は、フランスの誇る伝統的な職業や風物、建築などを子どもに例えて表現したもので、藤田の描く21点のリトグラフに、ジャン・コクトーがテキストをつけ、限定数制作の挿画本として出版されました。
当時のフランス芸術界をにぎわしていた藤田とコクトーのコラボレーションである本作は、 当時の風俗を細かくユーモアたっぷりに描いており、いま、私たちが見ても飽きることがありません。
初めての藤田作品として購入されるお客様からコレクターの方まで、翠波画廊でも大変人気な「四十雀」、この機会にお見逃しなく!