【会期終了】シャガール版画展
愛と幻想の色彩をあなたに
シャガール 版画展
2月19日(土)~3月5日(土)
10:00~18:00 日祝休廊
※終了いたしました
色彩の魔術師と呼ばれた20世紀の巨匠、マルク・シャガール。
激動の時代を生きたシャガールが、生涯に渡り感情の全てを込めて制作したオリジナル版画作品を一堂に展示販売いたします。
この機会にぜひご高覧下さい。
愛と幻想の画家
一度見たら忘れない、唯一無二の美しい色彩で描かれる、浮遊する恋人たちや、サーカスを描いたマルク・シャガール。
ピカソやマティスと並んで20世紀を代表する巨匠画家の一人です。「愛と幻想の画家」として世界的な知名度を誇り、日本でも高い人気を誇っています。
その作品には、生まれ故郷のロシアやユダヤ人としてのアイデンティティへの思い、時代の波に翻弄され、様々な困難を乗り越えた人間の真の強さや希望、魂の輝きが宿っています。
観る人を幻想的な美しい世界に誘う作風は、今なお多くの人に愛されています。
シャガールの版画との出会い
「私の哀しみの全て、喜びの全てをその中に・・・」
版画という表現技法について、シャガールが残したこの言葉。
シャガールは、1923年、ベルリン滞在中の35歳の時に版画に出会います。
当時のことを、「私の中では機が熟していた」と語るシャガールは、版画の世界に夢中になり、その後一年ほどの間は、油彩をほとんど描かずに、版画制作に専念したほど。
シャガールにとって、版画は様々な芸術の中でも、特に自由に遊び、感情の全てを込めることができる魅力的な表現方法だったのでしょう。
版画制作に並々ならぬ情熱を傾けたシャガールは、生前に約1100点のリトグラフとその他、銅版画、木版画、リノカットなどの多くの版画を残しました。
「私は版画が大好きです。また、石版画の石、銅版画の版に触れる時、お守りを手にした時のような神聖で豊かな気持ちになるのです」
とも語っています。
シャガールの版画への情熱は絶えることなく、版画制作においても巨匠となっていったのです。
本展では、人気の高い版画作品をはじめ、
様々な作品をご紹介いたします。
「アラビアンナイト」
戦時下から逃れるため、アメリカニューヨークに渡ったシャガールは、1944年、最愛の妻ベラを亡くします。
その2年後、ベラを思い出させるものが何もない別荘に移り住んだシャガールは、その地で制作に励みます。
その際、制作が開始されたのが、13点の挿絵からなる、「アラビアンナイト」です。
アラビアンナイトは日本でも「千一夜物語」としてよく知られていますがシャガールはその膨大な物語群から4つの物語をテーマにリトグラフを制作しました。
この時、シャガールは初めてカラーリトグラフという技法に挑戦し、エキゾチックな情緒あふれる幻想的な世界を描き出します。
その希少性と相まってシャガールの版画の中でもきわめて重要な作品のひとつです。
「ダフニスとクロエ」
20世紀中、最も美しい版画集と謳われた『ダフニスとクロエ』。
古代ギリシャの詩人、ロンゴスによって書かれた、青年ダフニスと少女クロエの、苦難に立ち向かい、愛を勝ち取った美しい純愛物語です。
シャガールはこの作品の制作に際し、ギリシャへの2度の取材旅行を行い、その世界観を作品の中に生き生きと表現しました。
シャガールが手掛けた挿画本の中でも最も評価が高く、全42点からなる作品のシャガールならではの美しい色彩が、愛の尊さを余すことなく伝えてくれています。
リトグラフポスター
オペラ座での公演や観光ポスターなど、シャガールは80点を超える様々なリトグラフポスターを手がけました。
シャガールには多くの人に自分の絵を楽しんでもらいたいという思いがあった為、実際にポスターとして掲示されたもの以外に、観賞用に限定数を決めてリトグラフポスターが刷られました。そのため、シャガールのリトグラフ・ポスターは美術的価値を持った作品と言えます。
鑑賞用として制作されたリトグラフポスターの中でも、「三大リトグラフポスター」と呼ばれる作品があります。
そのうちの一つが、 「ポスター:カルメン」 です。
スペインを舞台にした情熱的な愛の物語「カルメン」を表現した作品です。
シャガールはよく、音楽を聴きながら制作したと言いますが、こちらの作品は、リズムよく刻まれる物語が、感情の高ぶりとともに、観る者の心を震わせる作品です。
人物の衣装にもこだわった、劇場型の空間をお楽しみください。
作品を飾られているお客様のお部屋をご紹介
シャガールの色彩豊かな作品は、お部屋を明るく彩り、「飾った途端、部屋も気分も明るくなり喜んでいます。」という嬉しいお言葉も頂戴しております。
今回の展覧会では、シャガールの鮮やかで幻想的な色彩、そして作品に込められた思いを最大限にご堪能いただける版画作品を、多数展示・販売いたします!
皆様のご来廊を心よりお待ちしております。
――― マルク・シャガール MARC CHAGALL
旧ロシアのヴィテブスクにて貧しいユダヤ人の一家に生まれる。
サンクトペテルブルクでフランスの最先端の芸術に触れたのちに、パリに渡る。
独自の画風がパリやドイツで人気を博し、画商との契約にもこぎつけるが、ロシアに一時帰国したタイミングで
第一次世界大戦が勃発。7年もの月日をロシアで過ごし、パリに戻ると預けていた作品の大半を失う。
第二次世界大戦では、ユダヤ人である為にニューヨークへの亡命を余儀なくされ、最愛の妻ベラを亡くすという悲劇に見舞われるなど、激動の時代を生きぬき、生涯に渡って愛情にあふれた絵を描き続けた。