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日本の美術館でも見つかる贋作絵画 
~ニセモノはなぜ作られるのか?

つい先日のニュースです。
徳島県立近代美術館が1999年に6720万円で購入したジャン・メッツァンジェの作品《自転車乗り》と、高知県立美術館が1996年に1800万円で購入したハインリヒ・カンペンドンクの作品《少女と白鳥》に、贋作の疑いがかかりました。
ドイツの有名な贋作画家ヴォルフガング・ベルトラッキが手掛けた贋作リストに、この2つの作品が含まれていたのです。
ベルトラッキ自身も、日本の報道機関からの取材に対し「自分が描いた」と認めています。
そのほか、日本の個人コレクターが所有するとあるローランサン作品も、ベルトラッキが描いたそうです。
2つの県立美術館は同作品の展示をいったん中止し、真贋の調査を進めることにしました。
高額で購入し、20年以上も観客に紹介してきた作品が贋作であったとしたら、その衝撃は非常に大きなものになります。
なぜ贋作はすぐに見抜かれないのでしょうか?

なぜ贋作はなかなかばれないのか?

ベルトラッキの贋作の疑いをかけられた
ハインリヒ・カンペンドンク《少女と白鳥》
(高知県立美術館)

まず、現存する世界一有名な贋作師とも言われるヴォルフガング・ベルトラッキについて調べてみました。
1951年生まれのベルトラッキは、美術修復家の父親のもとに生まれ、幼い頃から絵を描き、美術学校で専門的な教育を受けています。
享楽的な性格で、若い頃はヨーロッパ各地を放浪して、お金が足りなくなると名画を模写して売っていました。
本格的に贋作を始めたのがいつ頃かはわかっていません。
まともにオリジナルの絵を描いてもあまり売れないなかで、すでに名声やブランドの確立した画家の絵を真似て描くと高値で売れることがわかり、やめられなくなったようです。
ベルトラッキは、ビジネスとして高く売れる絵を描き続けるための調査や努力は惜しみませんでした。
たとえば、ベルトラッキは真作を模写するのではなく、その画家のまったく新しい絵を描きました。
すでにオリジナルが存在する絵を模写すると、いずれどこかでコピーであることが発覚しますが、新しい絵であれば贋作とばれるリスクが低くなります。存在してもおかしくない絵を画家の経歴にまぎれこませるために、ベルトラッキは画家の日記や画歴を綿密に調査しました。
また、ベルトラッキは、ゴッホやセザンヌやルノワールといった有名画家の贋作は作りませんでした。有名すぎる画家の場合は、鑑定家や評論家や熱心なファンが多いために、贋作がばれるリスクが高いからです。
ベルトラッキが好んで描いたのは、マックス・エルンスト、ハインリッヒ・カンペンドンク、ジャン・メッツァンジェ、フェルナン・レジェ、キース・ヴァン・ドンゲンといった、美術史的には評価が高くても、一般的な人気はそこまで高くない画家の贋作でした。
また、ベルトラッキは、描かれたことだけはわかっているけれども写真などが残っていない作品を狙いました。
実際、高知県立美術館所蔵のカンペンドンク《少女と白鳥》は、作家のカタログ・レゾネに絵の名前だけは掲載されているものの写真などが現存しないものです。これはベルトラッキによる贋作の可能性が非常に高いでしょう。

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贋作がばれるとどうなるのか?

ベルトラッキの贋作の疑いをかけられた
ジャン・メッツァンジェ《自転車乗り》
(徳島県立近代美術館)

ベルトラッキは、贋作の制作にも細心の注意をはらいました。
その画家の作品や人生を徹底的に調べ、この時期であればこのような作品を描いたに違いないと画家に憑依して構想を練り、その時期に使われていた絵具や画材やキャンバスを入手して、描いた絵に経年劣化の跡をほどこすことも忘れませんでした。
さらに、妻のヘレーネの祖父がドイツ系ユダヤ人の美術商フレヒトハイムと親交があったことから、彼の贋作の出どころは、フレヒトハイムが亡命前に手放したコレクションであるというストーリーまで作りました。
結婚後に夫の「犯罪」を知ったヘレーネですが、贋作販売に積極的に協力するパートナーとなっていました。
しかし最終的に、絵具の鑑定から贋作であることが発覚し、2010年に夫婦は逮捕されました。
ベルトラッキは35年間のあいだに約300枚の贋作を作り、約5000万ユーロ(約80億円)を稼いだと言われていますが、裁判で判明したのはそのうちの14枚だけでした。
夫には懲役6年、妻には懲役4年の刑が課され、出所後はドイツを出て、スイスに夫婦で暮らしています。
ベルトラッキの物語は、「NHK BS世界のドキュメンタリー」で放送されたドイツ映画「贋作師ベルトラッチ ~超一級のニセモノ」で有名になりました。
有名になったベルトラッキは、現在はオリジナル画家として、悠々自適の暮らしをしています。
NHKで2022年に放送された「贋作の誘惑 ニセモノVS.テクノロジー」にも出演して贋作の制作方法について語り、自分の「贋作」は日本にも渡ったと述べています。

ギィ・デサップの贋作を発見した話

ドキュメンタリー映画などの映像を見ると、ベルトラッキは陽気で憎めない人物に見えますが、モラルはそれほど高くないように感じられます。
贋作を作られたときに、感情的にも経済的にも最も被害を受けるのは、その贋作のオリジナルの画家とその家族ですが、それらの人々に対する謝罪や反省の言葉はあまり見られませんでした。
むしろ、オリジナルの画家よりも自分のほうがよりよい絵を描けると自負している感じもありました。
では、実際に自分の絵の贋作を見つけたときに、画家はどのような反応を示すのでしょうか。
翠波画廊の契約作家ギィ・デサップは、インターネットで自分の贋作が販売されているのを知り、すぐに「贋作」であることを伝えて、出品を止めてもらいました。
「贋作」の販売を見つけたといっても、その販売者が「贋作」であると知って販売しているのか、それとも無知で善意の第三者であるかはただちにはわからないので、いきなり罪に問うことはできません。
そこで、とりいそぎプラットフォーム側に販売停止を求めて、応じてもらうことができました。
さらに調べたところ、ほかにも自分が許可を出していないコピー絵が大量に売られていることがわかりました。
現在は印刷技術が発達したため、ネット画像などをプリントした安易な複製画を勝手に作られてしまうことがあります。
このような行為は明確な著作権侵害であり、また利用者側も、ネットからのダウンロードであっても継続的におこなうと「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」を課されることになります。
画家の権利を守るために、怪しい商品には手を出さないよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

ギィ・デサップ日本語公式サイトはこちら >>

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