モディリアーニの遺児
~モディリアーニの妹に育てられたジャンヌ
画家は、しばしば芸術に対して夢中になりすぎるあまり、家庭生活を顧みないイメージがあります。
たとえばピカソは、孫のマリーナ・ピカソから「家族を不幸にした」と辛辣に評されています。次々と愛人をつくったことを非難されているのでしょう。
たとえばクリムトは、公式には生涯独身でしたが、婚外子が少なくとも14人はいたと言われています。家庭を持ちたくなかったのでしょう。
たとえばゴーギャンは、妻と5人の子どもがいるのに安定した株式仲買人の仕事を捨てて画家になることを選びました。その後は家族と別居状態となり、南国タヒチで10代の少女たちを現地妻にして2人の子どもを新たにつくっています。
また、家庭を持とうとしてできなくなった画家もいます。それが、生まれたばかりの子どもを残して夭逝してしまったモディリアーニです。
悲劇の主人公モディリアーニ
アメデオ・モディリアーニはフランスで活躍したユダヤ系イタリア人画家です。
美術史的には、藤田嗣治やモーリス・ユトリロと同じく、エコール・ド・パリの一員として数えられます。
モディリアーニを有名にしているのは、その悲劇の生涯です。
パリに集ったボヘミアン的な売れない芸術家の一人として、モディリアーニは極貧生活を送っていました。
そんな彼を支えたのが女性たちです。色男のモディリアーニはさまざまな女性と付き合いましたが、最終的に同棲した相手は14歳年下の美術学生ジャンヌ・エビュテルヌでした。
1917年、33歳のモディリアーニは19歳のジャンヌと暮らしはじめ、初めての個展を開催します。翌1918年には長女のジャンヌ・モディリアーニが誕生します。
彼の芸術家人生はまさにこれから始まるところでした。
しかし、子どものころから患っていた結核が飲酒や薬物接種などの不摂生で悪化し、1920年に結核性髄膜炎で死亡します。享年35歳でした。
残された妻のジャンヌ・エビュテルヌは次子をみごもっていて妊娠8か月でしたが、モディリアーニの死の2日後に飛び降り自殺してしまいます。
わずか1歳の遺児ジャンヌ・モディリアーニは、イタリアにいた祖父母(モディリアーニの両親)に引き取られ、叔母(モディリアーニの妹)を母代わりに育ちました。
戦争を生き抜いたモディリアーニの一人娘
ジャンヌ・モディリアーニは長じてフィレンツェで美術史を専攻し、ユダヤ系イタリア人経済学者と結婚しました。
ところが運の悪いことに、彼女が20歳のときにイタリアはドイツと軍事協定を結び、第二次世界大戦に参戦しました。ナチス・ドイツと手を結んだイタリアの政権はユダヤ人を迫害することを選び、ユダヤ系であるジャンヌ・モディリアーニはパリに逃げました。
パリもすぐにナチスに占領されましたが、ジャンヌ・モディリアーニはフランスのレジスタンスに加わって抵抗運動を続けました。
ここで、彼女はレジスタンスの闘士の一人であるヴァルデマール・ネクシャインと出会って恋に落ちます。二人とも既婚者でしたが、1946年に娘のアン・ネクシャイン・モディリアーニが生まれるほど関係は進展します。
結局、二人とも配偶者と正式に離婚して、新たに結婚することになりました。1951年には次女ロール・ネクシャイン・モディリアーニが生まれています。
戦後、ヴァルデマール・ネクシャインは高校教師の職を見つける一方で、共産党幹部としても活躍し、1993年に82歳で生涯を閉じました。
一方、ジャンヌ・モディリアーニは二人の娘を育てながら、1958年には父モディリアーニの伝記本を出版しました。彼女は1984年に脳出血で亡くなりました。
モディリアーニの孫娘は2人とも健在です。
構想40年、大阪中之島美術館がついに開館
おりしも現在、大阪中之島美術館では、2022年4月9日(土)から7月18日(月・祝)まで開館記念特別展「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」を開催しています。
この大阪中之島美術館は、大阪市制100周年記念事業として1983年に構想されたものですが、市の財政難から着工が遅れて、計画から約40年をかけてようやく完成したものです。
日本国内でのモディリアーニの大規模な個展は2008年の回顧展以来14年ぶりで、キスリングやパスキン、ピカソ、シャガール、藤田嗣治など、同時代にパリで活躍したエコール・ド・パリの面々の作品も合わせて紹介しているそうです。
モディリアーニは、作品数が少ないこともあり、オークションでの落札価格でもトップ5に2点が入るほどの人気作家です。1989年に大阪市が19億円で購入した《髪をほどいた横たわる裸婦》やハリウッド俳優グレタ・ガルボが所蔵していた《少女の肖像》など、国内外から約40作品が集められているので、この機会にぜひご覧ください。
絵画オークション落札記録トップ5(2022年4月現在)
1. ダ・ヴィンチ《サルヴァトール・ムンディ》4億5030万ドル(2017年)
2. ピカソ《アルジェの女たち(バージョンO)》1億7940万ドル(2015年)
3. モディリアーニ《横たわる裸婦》1億7040万ドル(2015年)
4. モディリアーニ《(左向きに)横たわる裸婦》1億5720万ドル(2018年)
5. ベーコン《ルシアン・フロイドの3つの習作》1億4240万ドル(2013年)
翠波画廊では、モディリアーニ作品のご用意がございます。
作品はこちらよりご覧ください。
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