ゴッホは自殺ではなく殺されていた?
ゴッホ他殺説を検証する本が話題に
1888(約41億円で落札)
2021年11月、クリスティーズ・ニューヨークのオークションで、ゴッホの水彩画《小麦の山》が約41億円で落札されました。
油彩画であれば1990年に日本人が落札した《医師ガシェの肖像》の約125億円がゴッホ作品の最高額になりますが、水彩画であるにもかかわらず41億円は驚異的です。
2022年5月にミケランジェロのデッサン画がクリスティーズ・パリで落札されたときの価格も約31億円であり、ゴッホ《小麦の山》は紙に描かれた作品としては史上最高額になりました。
生前は認められませんでしたが、現在は世界一ともいえる人気を誇るゴッホ。
近年の研究では、37歳でピストル自殺したといわれるゴッホが、実は自殺ではなく他殺だったのではないかという説が出てきました。
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なぜゴッホは自殺とされたのか?
1890(約125億円で落札)
1890年7月27日、オーヴェル=シュル=オワーズに滞在していたゴッホは、日課のスケッチに出かけ、夜遅くに傷を負って戻ってきました。
呼ばれたガシェ医師が診察すると、左乳首の下に銃創がありました。銃弾は心臓をそれていましたが、貫通せずに体内に残っていました。
ゴッホは「自分で撃った」と話しました。
すぐにパリにいる弟のテオに連絡が行きました。翌28日にテオが来たときにはまだ意識があり、会話も可能でした。
その夜、29日午前1時半、テオに見守られながらゴッホは亡くなりました。
遺族であるテオが自殺と判断したため、公式にはゴッホは自殺したとされています。
ゴッホの自殺にまつわる5つの謎
1890(絶筆)
ゴッホの自殺には不審な点がいくつかあります。
箇条書きで列挙してみましょう。
①遺書もなく、動機も不明。
②警察の事情聴衆に対して曖昧な返答。
③銃創の位置が不自然で、至近距離から撃ったのに銃弾が貫通していない。
④凶器の拳銃の入手先がわからず、どこにいったかもわからなかった。
⑤当日描いていた絵や画材やイーゼルが行方不明になっている。
①遺書と動機の問題については、ゴッホが2年前のアルル滞在時に自分の左耳を切り落とすなど情緒不安定であったことから、計画的なものではなく突発的なものであったと考えられています。死ぬ直前にも絵具を購入するなど、絵を描き続ける意欲はあったと見られますが、ゴッホの生活費を用立てていた弟夫妻と金銭問題で口論するなど、悩みは絶えませんでした。死ぬ直前には「このまま死にたい」とテオに漏らしています。
②ゴッホは「自殺したのか?」という警察の質問に対して「そう思う」と曖昧な返事をしています。傷の痛みで頭が朦朧としていたのかもしれませんし、罪の意識から明確な返答を避けたのかもしれませんが、謎が残ります。
③確実に死にたければ銃口を口に咥えて引き金を引くのが一般的ですし、こめかみを撃つ手もあります。自分の心臓を撃ち抜くのは難しいですし、失敗した後に再度の自殺を試みずに宿に戻るのも不自然です。これらの事実からは、ゴッホの自殺が衝動的なもので、迷いがあったことが見えてきます。
④ゴッホの死後、警察が捜査したのですが凶器の拳銃は見つかりませんでした。70年後に付近の農家から見つかり、おそらくゴッホの泊まっていた宿屋のものであろうと推測され、子孫に引き渡されました。この拳銃は2019年にオークションに出品され、約2000万円で落札されました。
⑤ゴッホがその日描いていた絵やイーゼルは紛失したとされています。誰かが盗んだとも、自殺したときは絵を描いていなかったとも言われています。ゴッホの絶筆(最後の作品)とされているのは《木の根と幹》です。2020年、ファン・ゴッホ研究所のバウター・バンデアベーンは、そのモデルとなった場所を特定してニュースになりました。
ゴッホ他殺説とは?
『ファン・ゴッホの生涯』
国書刊行会
ゴッホの自殺にはいくつか不自然な点がありますが、ゴッホ自身が狂気の人と見られていたために「彼ならそういうこともあるだろう」と見過ごされてきました。
しかし、2011年に出版されたゴッホの新たな伝記『ファン・ゴッホの生涯』が他殺説を大々的に主張したことで、近年は風向きが変わってきています。
著者のスティーヴン・ネイフとグレゴリー・ホワイト・スミスは、1989年にジャクソン・ポロックの伝記でピューリッツァー賞を受賞したベストセラー作家コンビです。
二人は何冊もの共著をものしていますし、私生活でも同居して、結婚したゲイカップルとしても知られています。
この2人が唱えた他殺説とは、村の少年による拳銃の暴発事故をゴッホがかばったというものでした。この他殺説は、近年の映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』や『ゴッホ 最期の手紙』でも採用されて有名になっています。
ゴッホはオーヴェル=シュル=オワーズで、ティーンエイジャーのガストン・クレスタと知り合いになりました。物静かなガストンは絵を描くのが好きでゴッホに懐いていました。
その弟のルネ・クレスタは兄とは性格が違ってやんちゃで、ゴッホの絵具箱に蛇をいれたり、コーヒーに塩をいれたり、ゴッホがよく咥えている絵筆の尻に唐辛子を塗ったりと、おとなしいゴッホをいじめて喜んでいました。
当時、西部劇にこっていたルネ・クレスタはカウボーイの恰好をして本物の拳銃を振り回して遊んでいました。
そしてゴッホが亡くなった後、ルネが拳銃で遊ぶことはなくなりました。
ルネは死の直前のインタビューで、ゴッホをからかっていたことと、拳銃をゴッホに盗まれたことを認めました。
ここから、ルネが誤ってゴッホを撃ってしまい、もともとうっすらと自殺願望のあったゴッホが少年をかばって黙って死んでいったとの推測が成り立ちます。
他殺というよりは、事故による過失致死でしょうか。
実際、村では真犯人はルネという説を信じている人もいるそうです。
しかし、ゴッホ財団は公式には他殺説を認めていません。真相はいまも藪の中です。
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