エコール・ド・パリの画家に恋した画商夫妻
~オランジュリー美術館から来たポール・ギヨーム・コレクション
芸術の都パリで有名な美術館といえば、ルーブル美術館、オルセー美術館、そしてオランジュリー美術館です。
なかでもオランジュリー美術館は、印象派からエコール・ド・パリまで、フランス近代美術の最も華やかな時代の作品を集めて、人気を集めています。
現在、横浜美術館では30周年記念として『オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』展を開催しています(2020年1月13日まで)。
12人の画家とは、いったい誰のことでしょうか?
オランジュリー美術館のコレクションの秘密
≪新しき水先案内人ポール・ギヨームの肖像≫
オランジュリー美術館に、印象派からエコール・ド・パリまで、つまり19世紀末から20世紀初頭の作品が集まっているのは、当時の絵画コレクターだったポール・ギヨームの収集品を基に作られているからです。
ポール・ギヨームはエコール・ド・パリの時代の画商です。モディリアーニやスーチンなど、エコール・ド・パリの画家を中心に、ピカソやマティスやルソーなどの前衛画家の作品を取り扱いました。
親交の深かったモディリアーニは、ポール・ギヨームの肖像画を何点か残しています。そのうちの一点≪新しき水先案内人ポール・ギヨームの肖像≫は、今回、横浜美術館に来日しています。
エコール・ド・パリの画家であるキスリングと同い年だったポール・ギヨームですが、残念ながら1934年に42歳の若さで亡くなりました。
≪ポール・ギヨーム夫人の肖像≫
そのコレクションを受け継いだのは、妻のドメニカ・ポール・ギヨームでした。ドメニカの肖像画も、ドランやローランサンによって描かれています。
まだ若かったドメニカは、ポールの死後に富裕な建築家のジャン・ヴァルテルと再婚し、さらにコレクションの拡充に励みます。
こうして集められた作品は、ドメニカの死後に「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」として、オランジュリー美術館に寄贈されました。
今回は、そのうち70点が横浜美術館に飾られています。
ルノワールとパリに恋した12人の画家って誰?
・ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」より)
横浜美術館は開館30周年記念ということで、今回の『ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』展にとても力を入れています。
子どもたちに大人気のポケモンとコラボレーションした「ジュニア鑑賞ガイド」まで作って、おおぜいの人たちに美術鑑賞の窓口を広げています。
今回、入手した「ジュニア鑑賞ガイド」には、ルノワールも含めて13人の画家が、顔イラストとともに紹介されていました。
その内訳は以下のとおりです。
印象派からは、オーギュスト・ルノワール、クロード・モネ、ポール・セザンヌ、アルフレッド・シスレーの4人。
印象派とエコール・ド・パリとの間をつなぐ画家たちとして、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、アンリ・ルソー、アンドレ・ドランの4人。
最後にエコール・ド・パリからは、モーリス・ユトリロ、マリー・ローランサン、アメデオ・モディリアーニ、シャイム・スーチン、キース・ヴァン・ドンゲンの5人です。
コレクションにまつわる黒いうわさ
≪ポール・ギヨームの肖像≫
キース・ヴァン・ドンゲンやアンドレ・ドランは、あまり日本では見ることができないので、この機会にぜひ足をお運びください。
それにしても、彼らがそれぞれに描いたポール・ギヨーム夫妻の肖像画を見ると、同一人物かとみまがうほどに印象が異なって見えます。
実は、ポール・ギヨーム夫人のドメニカには、フランスでは黒いうわさがついています。
ポール・ギヨームが若くして亡くなったことはすでに述べましたが、実はその後にドメニカが結婚した大富豪のジャン・ヴァルテルも交通事故で不審死を遂げています。
≪大きな帽子を被るポール・ギヨーム夫人の肖像≫
また、当時のフランスの法律では未亡人が夫の遺産を相続をするためには息子が必要だったため、子どものいなかったドメニカは男子を養子として迎えているのですが、その息子も殺されそうになったというのです。
当然、世間の嫌疑の目は未亡人のドメニカとその愛人に向けられますが、証拠がなかったために逮捕とはなりませんでした。
しかし、口さがないマスコミに、ドメニカは悪女としてさんざん叩かれました。
ドメニカのコレクションが、「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」としてドメニカの名を冠していないのも、そのような理由からかもしれません。
一説によると、死後のコレクションの寄贈を条件に逮捕を免れたとまで言われていますが、真相は定かではありません。
展示の目玉はルノワールの出世作
≪ピアノを弾く少女たち≫
今回の目玉作品となっているのが、ルノワール≪ピアノを弾く少女たち≫です。
≪ピアノを弾く少女たち≫は、ルノワールが初めてフランス政府に買ってもらえた作品です。つまり、公的に良い画家として認められるようになった記念の絵となります。
ルノワールの友人であった詩人のマラルメが、当時の美術長官に熱心に売り込んだ結果、フランス政府からルノワールへの絵画制作の依頼が決まりました。
興奮したルノワールは、同じモチーフで6点の絵画を作って、最も完成度の高いものを選んで4000フランで売ったといいます。
フランス政府が購入した絵は、現在、オルセー美術館に所蔵されていますが、ルノワールの手元に残った5点のうち1点は、ルノワールの死後にポール・ギヨームのコレクションとなり、最終的にオランジュリー美術館に収められ、今回、企画展の目玉作品として横浜美術館に来日しています。
翠波画廊でも現在「魅惑のフランス近現代絵画展」と題して、エコール・ド・パリの画家作品を展示しています。お近くまでお越しの際はぜひお立ち寄りください。
魅惑のフランス近現代絵画展
12月9日(月)~28日(土)
10:00~18:00 日祝休廊
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