シャガール・ブルーとは何か?
“色彩の魔術師”マルク・シャガールの青の魅力に迫る!
シャガールは「色彩の魔術師」と呼ばれるほど、色を巧みに活用する画家でした。
シャガールの師匠であるレオン・バクストは「色彩が歌っている」と賞賛したほどです。
なかでも、シャガールが表現する青色は「シャガール・ブルー」と呼ばれ、印象的な色彩として知られています。
シャガール・ブルーは、彼が生涯を通じて変わらずに描き続けた色です。
青は彼にとって故郷や愛する人への想い、神秘や夢、希望や憧れなどを象徴する色だったのでしょう。
今回はシャガール・ブルーの魅力をご紹介します。
さまざまな青を内包するシャガール・ブルー
以前翠波画廊にて販売
20世紀を代表する画家の一人であるマルク・シャガールは、色彩豊かな作品を数多く残しました。
中でも、青い絵の具を使った作品は、特に高い人気と評価を得ています。
シャガールのライバルともいえるピカソには、青を基調とした絵ばかりを描き続けた「青の時代」があります。
シャガールは特に青い絵だけを描いたわけではなく、さまざまな色を使ったのですが、そのなかでも青い絵の人気が高いのです。
シャガール・ブルーは特定の色というわけではなく、星月夜を想像させる明るい青、深海を想像させる深い青など、さまざまなバリエーションがあります。
とくに晩年にランスの大聖堂や音楽堂に残したステンドグラスの青は、明るさと深さを両立したユニークな色となっています。
シャガール・ブルーは、シャガールの人生の様々な感情を表現したものと考えられます。
シャガールの人生とはどのようなものだったのでしょうか
苦難の連続だったシャガールの人生
シャガールは1887年に、当時はロシア領であったベラルーシのユダヤ人街で生まれました。
そして幼少期からユダヤ教やハシディズム文化に親しんだことで、神秘的な世界観を育みました。
23歳のときに世界的な画家を志してパリに渡り、フォーヴィスムやキュビスムなどさまざまなスタイルに影響を受けながらも、物語性のある具象画にこだわり続けました。
その結果、故郷ヴィツェプスクからインスピレーションを得たモチーフで幻想的な絵を描く画家として成功しました。
シャガールの生きた時代には2つの大きな世界大戦がありました。
第一次世界大戦では、ユダヤ人であったことと、パリで画家として活躍していたことで徴兵を免除されたものの、故郷が戦場となり、家族や友人の消息が不明になりました。
第二次世界大戦では、ナチスのユダヤ人狩りから逃れるためにアメリカに亡命しましたが、そこで最愛の妻ベラが病死して、深い悲しみに陥りました。
また、両大戦期を通してユダヤ人に対する迫害や差別にも直面しました。
迫害や差別を受け続けたユダヤ人が自分たちの国を持たなければならないと、戦後に祖先の地であるパレスチナに建国したのがイスラエルです。
しかし、先住していたアラブ人との摩擦が起き、今もなおガザ地区での戦闘が続くなど、長く続く諍いの原因となっています。
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青はシャガールにとって特別な色だった
シャガールはユダヤ人として生まれ育ち、ユダヤのハシディズム文化に大きな影響を受けました。
青はユダヤ教では特別な色とされ、イスラエル国旗にも使われています。この青には「テカレット」という名前がつけられています。
日本にも群青(ぐんじょう)や紺青(こんじょう)や浅葱(あさぎ)などさまざまな青の種類がありますが、それと同じくユダヤ人にとっては「テカレット」が特別な色なのです。
ユダヤ人であるシャガールは青を使って自分の信仰やアイデンティティを表現しました。
シャガールは愛情を表現するときにも青を使いました。
通常、愛やハートは血液の色である青で表現されることが多いのですが、シャガールは青を使って愛する人への深い愛情や悲しみを表しました。
シャガールは愛する妻ベラとの幸せな生活や、彼女の死後も続く思いを青い絵として描きました。
青は宗教的な信仰に基づく神聖な愛や普遍的な愛を表しています。
シャガールは戦争によって失ったものや傷ついたものを、色彩豊かな絵画で表現しました。彼の作品には、故郷や妻への愛、ユダヤ人としてのアイデンティティ、平和への願いなどが込められています。それらの絵に使われたのがシャガール・ブルーです。
シャガール・ブルーは、人生の悲しみ、苦しみ、喜びなど、全てを優しく包み込んでくれる色です。
シャガールの人気が上昇中
(出典:Artprice)
2023年はフランス本国で、シャガールの大きな展覧会が3つ開催されました。
ひとつはパリ11区のアトリエ・デ・リュミエールでの没入型展覧会、もうひとつはルーベのアンドレ・ディリジェント美術歴史博物館、そして最後にパリのポンピドゥー・センターです。
これらの展覧会にあわせて、美術市場でもシャガールの人気が上がっています。
2023年4月に香港のサザビーズで開催された「シャガールの芸術」、3月にパリのクリスティーズで開催された「シャガールと音楽」などのオークションで、シャガール作品の価格が高騰しました。
たとえば、3000ドルで出品された小さなペン画《Ange violoniste》(1938年)は6万2000ドルまで値が上がりました。
紙に描かれた《Rencontre multicolore avec le peintre》(1974年)も38万5809ドルとなりました。
キャンバスの油彩画《Au-dessus de la ville》(1924年)は1560万ドルとなり、シャガール史上4位のオークション落札額となりました。
ちなみにシャガール作品の価格1位は、2017年にサザビーズ・ニューヨークで記録された《Les amoureux》(1928年)の2840万ドルです。
2023年、シャガールの作品は世界中のオークションで8390万ドルを売り上げ、シャガールは美術市場で23番目に売れたアーティストとなりました(1位はピカソです)。
翠波画廊では、シャガール作品を多数取り扱っています。
ぜひご覧になってください。
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