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美術+音楽=びじゅチューン!?
モナ・リザがお局ってどういう意味?

NHKで「日曜美術館」などを担当していたプロデューサーが企画した、初心者向けの美術番組「びじゅチューン!」をご存じでしょうか?
2013年から8年以上も続く人気番組で、わずか5分間のなかに美術の名品をモチーフにした歌とアニメ、そして作品解説までがぎゅっと詰まっています。
歌とアニメを作っているのは映像作家の井上涼さんです。ひとりで手描きなので量産できませんが、2021年にはとうとう100本を超えました。
今回は「びじゅチューン!」の名作5本を紹介します。

モナ・リザの微笑みはなんのため?

レオナルド・ダ・ヴィンチ
《モナ・リザ》(ルーブル美術館)

「びじゅチューン!」の魅力は、一般に高尚と思われて敬遠されがちな美術品を、子どものような無邪気な視点で換骨奪胎するユーモアです。
たとえば、ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》は、謎めいた微笑が有名ですが、「びじゅチューン!」では、このモナ・リザの微笑みを、職場で謎めいた存在感をはなつ「お局さん」にたとえています。
「お局のモナ・リザさん」とはいったいどんな人なのか? 実際に見てみましょう。

[びじゅチューン!] お局のモナ・リザさん | NHK
動画は こちら>>

フェルメールだって現代のOLになる

ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》
(アムステルダム国立美術館)

次に紹介するのは100本を越える「びじゅチューン!」のなかでも屈指の人気作「何にでも牛乳を注ぐ女」です。
この歌の動画はYouTubeで再生回数が1300万回を超えているので(「お局のモナ・リザさん」は350万回)、もしかするとみなさんもどこかで見たことがあるかもしれません。
モチーフになっているのは、フェルメール《牛乳を注ぐ女》。
市井の人の日常風景をとらえたこの名画がどのように料理されているのでしょうか?

[びじゅチューン!] 何にでも牛乳を注ぐ女 | NHK
動画は こちら>>

アルルの寝室に見るゴッホの人生

フィンセント・ファン・ゴッホ
《アルルの寝室》(オルセー美術館)

「びじゅチューン!」がとりあげるのは基本的には誰でも知っているような名作ですが、ゴッホでは、ややマイナーな《アルルの寝室》もモチーフにしています。
「アルルの訳あり物件」は、ゴッホがゴーギャンと一緒に住んでいたアルルの「黄色い家」を、不動産屋の空室物件として紹介するものです。
ゴッホが絵描きたちのユートピアとして思い描いたアルルの「黄色い家」。多くの画家に声をかけたものの、実際に来てくれたのはゴーギャンただ一人。そのゴーギャンとの共同生活もわずか2カ月で終わりを迎えてしまいます。
緊張が高まった日々の最後に、ゴッホが自分の左耳を剃刀で切り落とした話は有名です。

[びじゅチューン!] アルルの訳あり物件 | NHK
動画は こちら>>

ゴーギャンのとらえた過去・現在・未来

ポール・ゴーギャン《われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか》(ボストン美術館)

ゴッホと別れた後、フランス領である南洋のタヒチ島へ渡ったゴーギャンは、そこで畢生の大作《われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか》を完成させます。
縦1.4m×横3.75mのこの作品は、絵が売れず健康も悪化して失意のどん底にあったゴーギャンが人生の意味について改めて考えたもので、本作の完成後には自殺未遂をするほどに思いつめていた時期のものです。
「びじゅチューン!」では、そんなゴーギャンを、人生という名のサーキットを周回するレーサーにたとえて軽やかに表現しています。

[びじゅチューン!] レーサーはゴーギャン | NHK
動画は こちら>>

マティスのダンスはなぜ踊っているのか?

アンリ・マティス《ダンスⅡ》
(エルミタージュ美術館)

「びじゅチューン!」がすぐれているのは、美術品が制作された当時の背景を知らない現代の観客が絵を見たときに感じる驚きや違和をごまかさずに、それをも含めて新たな鑑賞方法を提示してくれるところです。
たとえばマティスの《ダンスⅡ》は、裸の女性5人が円形になってダンスをしている絵です。
ネットで見るとわかりませんが、実物は縦2.6m×横3.9mと、ゴーギャン《われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか》よりも大きな作品で、目前にするとたいへんな迫力があります。
絵のタイトルから彼女たちがダンスをしていることはわかりますし、おそらくはグルグルと回っているのであろうことはわかりますが、なぜ裸で踊っているのでしょうか?
「びじゅチューン!」はこの疑問に対し、回転寿司という絶妙な答えを用意します。ぜひご覧になってください。

[びじゅチューン!] ダンス寿司 | NHK
動画は こちら>>

2021年は国立新美術館で「マティス 自由なフォルム」展が開催予定でしたが、コロナ禍で来年以降に延期になってしまいました。残念です。
代わりに翠波画廊では2021年12月25日まで、マティスをはじめとする「20世紀の巨匠フォーヴィスムの画家による版画展」を開催しています。近くに来たときはお立ち寄りください。

また、2021年に開催された展覧会「びじゅチューン!EXPO ~ときめき立体ミュージアム~」は5万人を動員し、2022年3月から4月にかけて大阪で再展示が決定しました。興味のわいた方はこちらもチェックしてみましょう。

マティスお勧め作品

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