バンクシーのネズミの絵が東京に出現!
その背景と意味に迫る
バンクシーとは、イギリス出身の匿名のストリートアーティストです。
1990年代から世界中の壁や橋などにスプレーとステンシル(型枠)を使って作品を描いています。
その作品には、反戦争、反権力、反資本主義などのメッセージが込められており、社会的な問題に対する風刺や批判が見られます。
バンクシーは自らの正体を明かさず、神出鬼没に活動しているため、「アート・テロリスト」とも呼ばれています。
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バンクシーのネズミ
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バンクシーの作品には、ネズミがよく登場します。
ネズミは、ホームレスや移民、難民など、都市から排斥された人々の象徴です。
人目を忍んで夜の街でグラフィティを描くバンクシー自身でもあるかもしれません。
バンクシーはネズミをストリートアートの象徴として多用しており、傘を持ったネズミ、風船を持ったネズミ、ミッキーっぽいネズミなど、様々なバリエーションがあります。
東京に現れたバンクシーのネズミ
あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも? カバンを持っているようです。 pic.twitter.com/aPBVAq3GG3
— 小池百合子 (@ecoyuri) January 17, 2019
2019年1月、東京都港区の防潮堤に、傘を持ったネズミが描かれていると話題になりました。
小池都知事がツイッター(当時)で投稿して有名になったこの絵は、バンクシー本人の作品集に写真が掲載されていることがわかり、本物であると噂されています。
いったい、いつ描かれたものでしょうか?
この絵は、2002年9月にバンクシーが来日した際に描かれたと考えられています。
バンクシーの公式作品集『Wall and Piece』に、反転したかたちではありますが、「TOKYO 2003」のキャプションとともに掲載されています。
つまり16年近く話題にならずにただ存在していたのです。
バンクシーは街中に残したストリートアートについて、自分の作品であるとかないとかを公言しません。
建築物の所有者に無断で絵を描いたことで、他人の所有物を勝手に棄損したとの違法性を追求されて、訴追されるリスクがあるからです。
そのため東京都のネズミについても当初は真偽論争が活発でした。
この絵はなぜ16年もの間気づかれなかったのでしょうか?
実は現場を所轄する港湾局の職員には15年くらい前から知られていました。
しかし、バンクシーがまだ有名ではなかったため、一般人による落書きだと思われて放っておかれたのです。
この絵があまり目立たない場所に描かれていたことや、防潮堤が工事中だったことなどから、多くの人の目に触れることもありませんでした。
ですが、2019年1月に小池百合子都知事がSNSで紹介すると、すぐに話題になりました。
あまりにも騒ぎが大きくなったため、東京都はこの絵を撤去して保存・鑑定を行い、都庁で一般公開しました。
現在はもともとあった場所に近い、日の出ふ頭の2号船客待合所(シンフォニー乗り場)に展示されているので、誰でも見に行くことができます。
バンクシー展が日本で開催
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偶然かどうかは分かりませんが、ちょうどこの頃、日本で大々的なバンクシー展が開催されることが発表され、さらにバンクシーに注目が集まりました。
2020年3月に横浜から始まった「バンクシー展 天才か反逆者か」は、大阪、名古屋、福岡、広島、東京、札幌の7会場を2年かけて巡回し、100万人以上を集めて2022年5月に終了しました。
会場で行われた投票では、天才が65.6%、反逆者が34.4%という結果でした。
2021年8月からは、「バンクシーって誰? 展」も東京の寺田倉庫で開催されました。
この展覧会では、世界各地に散らばるバンクシーのストリートアートをテレビ局の美術チームがリアルサイズで再現しました。
展示数は「バンクシー展 天才か反逆者か」よりも少なかったのですが、質の評価が高い展覧会となりました。
1年半かけて名古屋、大阪、郡山、高岡、福岡を巡回し、50万人以上を動員して2023年3月に終了しました。
バンクシーはあるとき「世界中で開催されているバンクシー展はほとんどニセモノだ」と公式サイトで述べたことがあります。
匿名アーティストであるバンクシーが権利を主張しないため、その作品を使って世界中で勝手に展覧会が開催されているというのです。売られているグッズも非公認です。
つまり、展覧会の入場料もグッズの販売金もバンクシーのもとにはいかないのです。
しかしバンクシーの作品を正式に入手した人がそれをどう使うかは自由なので、展覧会が違法とまでは言えません。
バンクシー以前のネズミ・アート
フランスのストリートアーティストのブレック・ル・ラットは、名前のとおりネズミ(ラット)の絵を、ステンシルの技法でパリの街中に残したことで知られています。
「ステンシルの父」と呼ばれたブレック・ル・ラットと同じく、ステンシルの技法でネズミの絵を描くバンクシーは、彼の影響を受けたことをおおやけに認めています。
実はブレック・ル・ラットのラット(rat)は、アート(art)のアナグラムです。ですから、バンクシーのネズミにもアートの血が流れているといえます。
ブレック・ル・ラットは、ネズミを「街中に自由に現れてペストのように増殖する」ものと考えて、ストリートアートの象徴としています。
バンクシーにもその考えは受け継がれていることでしょう。
翠波画廊では、バンクシーの作品を取り扱っています。
ぜひご覧になってください。
バンクシーおすすめ作品
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