バンクシーが出てくるマンガ『左ききのエレン』
美大には天才と凡人がいるらしい
愛知県美術館がTwitterの公式アカウントでマンガ『Miró & Galí~ガリ美術学校時代のジュアン・ミロ~』を公開して話題を呼んでいます。同館で2022年7月3日まで開催中の「ミロ展──日本を夢みて」のプロモーションとして制作したそうです。
悩める若き天才画家の能力を引き出した、型やぶりな先生の話(1/5)#漫画が読めるハッシュタグ pic.twitter.com/JVNEyVLLSm
— 愛知県美術館 (@apmoa) April 27, 2022
マンガは多くの人の心に届く力を持っています。
そんな日本のマンガのなかに、あのバンクシーが登場してセリフをしゃべる作品があるのをご存じでしょうか?
マンガのタイトルは『左ききのエレン』――ウェブサイト「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中のウェブコミックです。
2019年には毎日放送制作でドラマ化もされたので、知っている人もいるかもしれません。
タイトルにもなっているエレンは、日本出身の架空の現代アーティストです。
『左ききのエレン』は、高校生のときに「横浜のバスキア」と呼ばれていたエレンが世界で成功するまでのサクセスストーリー、かと思いきや、物語はエレンの同級生だった美術部の朝倉光一に焦点をあてて、大人の熱いビジネスマンガへと変貌を遂げていきます。
ウェブコミックから生まれたベストセラー
『左ききのエレン』は、もともと広告代理店やウェブ制作会社でデザイナー/プランナーとして働いていた「かっぴー」さんが、2015年にウェブサイト「cakes」のクリエイターコンテストに投稿した読み切りマンガでした。
その作品が特選を受賞し、「cakes」で連載が始まって人気となり、大手出版社のウェブサイト「少年ジャンプ+」でリメイクされたものが、いま本屋に並んでいる『左ききのエレン』です。
なぜ新たな作画でリメイクになったのかといえば、読者受けのする絵師を使って確実にヒットを狙いたかったからでしょう。
しかし原作版『左ききのエレン』は、絵のクオリティはいまいちでも、そのストーリーの面白さで読者の心を鷲づかみにしていました。
いったい、どのようなお話だったのでしょうか?
リメイク版『左ききのエレン』1巻(集英社)紙書籍と電子書籍で販売中
原作版『左ききのエレン』1巻(ナンバーナイン)電子書籍のみで販売中
「天才になれなかったすべての人へ。」
《Soup Can : Original Colourway》
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『左ききのエレン』は天才と凡人がそれぞれに葛藤するお話です。
たいていの物語では、主人公は生まれつきの天才であり、努力でその才能を開花させます。『左ききのエレン』でいえば、エレンがまさにそのタイプです。ハリー・ポッターとか、『スター・ウォーズ』のジェダイとか、みんな生来の才能がありました。
それに対して、エレンの高校の同級生で美術部の朝倉光一は、突出した才能のない凡人です。しかし、思春期にありがちなことに、自分のことを天才だと思いこみ、世界的な有名デザイナーになれると信じています。
そんなある日、学校の近くの美術館の外壁にグラフィティ(ラクガキ)が描かれて、現場に光一の高校の校章が落ちているという事件が起きました。野次馬気分で見に行った光一はその上手さに衝撃を受け、犯人を「横浜のバスキア」と名づけて勝手にライバル視します。
しかし、その正体を探ってエレンに近づいた光一は、絵が「下手くそ」とエレンに罵倒されます。世界的なデザイナーなんて「夢見てる奴が10万人いたとして、残るやつは10人がいい所だ」とエレンは光一の夢を踏みにじります。エレンは事故死した画家の父親が、本当は売れないことを苦にしての自殺だったのではないかと苦しんでいたのです。
月日は流れ、武蔵美術大学を卒業して大手広告代理店にデザイナーとして入社した光一は、理想と現実との落差に打ちのめされる日々を送っています。
その頃、エレンはニューヨークでストリートアーティストとして活動していて、ガゴシアン・ギャラリーの外壁にグラフィティを残して名を挙げます。そして2005年、MoMA(ニューヨーク近代美術館)で、警備員の目を盗んで勝手に作品《Soup Can》を飾ろうとしたバンクシーと邂逅します(原作版6巻、リメイク版12巻)。
エレンは架空の存在ですが、バンクシーによるMoMA襲撃事件は現実の出来事です。『左ききのエレン』は、私たちと同時代の物語なのです。
才能のピークをすぎても人生は続く
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『左ききのエレン』はエレンや光一が高校生の頃から、美大時代、社会人時代へと、時系列が行ったり来たりする複雑な作りをしています。
時系列だけでなく、主人公エレンと光一のストーリーも交互に表れますが、多くの読者が共感できるのは天才のエレンよりも凡人の光一のほうでしょう。
光一の姿は、武蔵美術大学を卒業して広告代理店にデザイナーとして入社した作者のかっぴーさんの姿を反映しているそうです。
かっぴーさんは、デザイナーとして抜きんでた能力がないことに悩み、プランナーとしてウェブ制作会社に転職します。おそらく多くの若者が、同じような悩みや葛藤を抱えて20代を過ごしているのではないでしょうか。
そんな『左ききのエレン』も原作版は26巻を迎え、悶々とした20代を送っていた光一もアラフォーとなり、部下を指導するようになりました。
かつて「オレは、オレの事ばっかりだ」と反省していた光一も、「オレはオレの事もういいんで」と言えるほどに成長しました。しかし、それですべてが収まるわけではありません。
光一のいる広告業界には、数多くの天才がいて、光一のクライアントを奪おうとしています。また、天才エレンはどのようなアラフォーになったのか――社会人のお仕事青春ストーリー『左ききのエレン』、おすすめです。
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翠波画廊では、バンクシー作品のご用意がございます。
作品はこちらよりご覧ください。
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