アートはコロナウイルスとどう戦うか
~草間彌生やバンクシーからのメッセージ
2019年12月に中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、またたくまに世界中に広がり、社会に恐怖と混乱をまきおこしています。
国連の世界保健機関(WHO)は、2009年の新型インフルエンザ以来10年ぶりのパンデミック(世界的大流行)を宣言し、世界中で人の移動や経済活動が制限されました。
2020年に予定されていた東京オリンピックが延期されたことが、事態の深刻さを如実に物語っているでしょう。
日本でも緊急事態宣言が発令され、翠波画廊のある銀座・京橋も人通りが少なくなっています。
このように社会活動や経済活動が脅かされる事態に際し、アートには何ができるのでしょうか。
イベントの自粛はアーティストの死活問題
新型コロナウイルスは非常に感染力が高く、感染防止のために人と人が近距離で触れ合うことが制限されています。
そのため、日本のほとんどの美術館やミュージアムが休館の措置を取りました。
東京でも国立西洋美術館や東京都現代美術館をはじめ、多くの美術館が企画を中止して館を閉めてしまいました。予定がつぶれてしまった人も多いでしょう。
休館によって、観客だけでなくスタッフも困っています。公立美術館は国や地方自治体からの補助金があるから良いのですが、民間の美術館や画廊・ギャラリーは、集客ができないことで収入が途絶えてしまいます。
自粛要請が出されてからというもの、アートやエンターテインメントの業界からは「生計がたたない」と悲鳴があがっています。
特に、人が密集して熱狂することが多いポピュラーミュージックのコンサートは、2月末から軒並み中止となりました。
小規模なライブハウスは、感染クラスターの発生した場所として報道されたこともあり休業を余儀なくされていますが、仕事のなくなった関係者や発表の場所を奪われたアーティストが我慢を強いられています。
アート界でも、3月19日~22日に予定されていた、日本最大級の国際的なアート見本市「アートフェア東京2020」が中止となり、アーティストもファンもギャラリーも落胆の色を隠しきれません。
≪The New Spirit(Donald Duck):広告より≫
このようななか、文化や芸術の火を絶やしてはならないと、各国でさまざまな支援策が検討されています。
ドイツの文化大臣は「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と宣言して、フリーランサーや芸術家へ最大500億ユーロ(約590億円)の支援を約束しました。
イギリスも、イングランド芸術評議会が、アーティストや劇場、ギャラリーなどに1億6000万ポンド(約210億円)の財政支援を発表しています。
アメリカの全米芸術基金も、非営利芸術団体に対する7500万ドル(約80億円)の支援を決めました。
民間でも、アンディ・ウォーホル財団が、新型コロナウイルスの感染拡大で経済的ダメージを受けたアーティストに向けて、160万ドル(約1億7000万円)の助成金を新設しました。
草間彌生は言葉で戦う
アーティスト自身も、この未曾有の危機に対して発信を始めました。
草間彌生は、代理店のオオタファインアーツのウェブサイトを通じてメッセージを発表しました。
草間彌生らしい真摯で魂の込められたメッセージです。象徴的な部分を引用して紹介します。全文を読みたい方はリンク先をご参照ください。
我々の前に立ちはだかった新型コロナウイルスよ
≪かぼちゃ(2)≫
地上から消えてゆけ
我々で戦ってやる
この計り知れない魔物と戦ってやる
世界中の人々よ、今この時こそ全ての人類が立ち上がって欲しい
そして、すでに戦っている人々へありがとうと言いたい
バンクシーは作品を発表
ストリートアーティストのバンクシーは、バンクシーらしい風刺のメッセージを発表しています。
≪Soup can-banana/lime/purple≫
バンクシーの公式インスタグラムには、自宅待機を強いられた体のバンクシーが、家のトイレにたくさんのネズミの絵をステンシルで描いた様子が投稿されました。
便器に向けて小便をするネズミなどが描かれた写真の横には「僕が家で仕事をすると妻が嫌がる」というバンクシーの皮肉なコメントが付けられています。
バンクシー流のジョークにこめて、自宅待機でたまる人々の鬱憤を晴らしてくれるアート作品です。
このバンクシーの投稿はCNNやNHK、朝日新聞でも報道されるほどのニュースになりました。
ちなみにバンクシーはフェイスブックやツイッターはやっていませんが、インスタグラムだけはアート作品を発表するために公式アカウントを作っています。
オークションで落札された直後にシュレッダーにかけられたバンクシー作品の種明かし動画も、インスタグラムで発表されました。
出典:banksy Instagram
カウズはチャリティーを企画
現代アーティストのカウズは、非営利団体「フリー・アーツ・NYC」へ全額寄付することを目的として限定版プリント作品を発売しました。
作品を購入することで間接的にアート業界、アート文化を支援することができます。価格は送料込で1200ドル(約13万円)となっています。ただし、25枚限定なので抽選に当たった25名しか買うことができないようです。
出典:KAWS Releases Limited Prints With Free Arts NYC to Support Charities
MILO(white・black・brown)3点セット
自宅待機を利用してアートを楽しもう
アートに対する支援は、お金を出すことばかりでなくても良いのです。
ミュシャ財団は、自宅待機を強いられた人々のストレスを癒すために、ミュシャ作品の塗り絵を無料公開しました。
「Colour your own Mucha(自分なりにミュシャの色をつけて)」と題された塗り絵は、誰でもダウンロードが可能で、外出ができなくなった休日のひとときをアートな気分で彩ってくれます。
また、線のはっきりしたミュシャの絵は塗り絵に最適です。
あなたもぜひ、オリジナルのミュシャを作ってみてください。
出展:ミュシャ財団
また、インターネットの大手企業グーグルはGoogle Arts&Culture(グーグル芸術と文化)と題して、世界中のさまざまな美術館の収蔵作品をオンラインで見られるようにしています。ウイルス騒動が落ち着くまでの間、お楽しみください。
Google Arts&Culture:
オルセー美術館(パリ)はこちら>>
国立西洋美術館(東京)はこちら>>
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