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50歳で旅立ったセネガルの画家ドウツ
―彼が愛したダカールの街と人々

2023年6月9日、セネガル出身の画家ンドイェ・ドウツ(Ndoye Douts)が50歳で亡くなりました。ドウツはダカールの街並みをカラフルでナイーブなタッチで描いた作品で知られています。ドウツの作品はダカール・ビエンナーレ(Dak’Art)などで展示され、国際的にも高い評価を得ていました。私たちはドウツさんの早すぎる死を深く悲しんでいます。

ダカールの街並みをカラフルに描いたドウツ

ドウツ「サンジャラ」

ドウツは1973年5月1日にサンガルカムに生まれました。セネガル独立後に興った芸術運動「エコール・ド・ダカール」の第3世代に属しました。ドウツは文化の多様性とアフリカのアイデンティティを大切にしました。

ドウツはダカールの「建築的無秩序」を子供のような線で描きました。混沌とした都市の世界はドウツにとって無限のインスピレーションでした。ドウツは海や舟、車や建物、人々などを同じ平面で描きました。まるで都市の万華鏡です。ドウツは色鮮やかな色彩でダカールの活気とエネルギーを表現しました。

ドウツは絵だけでなく映画も制作しました。2001年には『Train-Train Medina』という短編映画を作りました。ダカールの住民の日常をユーモラスで詩的なシーンで描いたものです。

ドウツは自分がレブ族の出身であることを誇りに思っていました。レブ族はセネガルの漁師民族です。ドウツは自分の作品に「レブ」という言葉と魚や船の絵を描いたことがありました。
ドウツの友人でもあるパリのArt-Zギャラリーのオーナー、オリヴィエは次のように解釈しました。
「魚が減ってきたからレブ族は船で移民しました。とても危険な旅で、多くの人が命を落としました」
ドウツの作品は軽快に見えますが、深いメッセージが込められています。

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2023年に初来日した直後の訃報

ドウツは4月に日本に約2週間滞在し、翠波画廊で初来日展を開催しました。ドウツは「日本はとても興味深いところでした。私はいつか日本の絵を描くかもしれません」と語っていました。

ドウツはセネガルに帰国後まもなく亡くなりました。友人や仲間は彼の死を悲しみました。彼らはドウツの作品や人柄を次のように称えました。
「ドウツは陽気で寛大な人でした。彼はダカールの街を愛し、その魅力を世界に伝えました。彼は誰とでも交流しました。彼はセネガルのすべての芸術家の家族でした。」
2020年にドウツについて15分のドキュメンタリーを制作したフランスの映画監督クリスチャンは次のように語りました。
「ドウツはこれまでに仕事をしたなかで最も親しみやすい芸術家でした。おしゃれで、よく服を着替えていて、まるで花のようでした」

ドウツの作品は私たちにダカールの街の息吹を伝えてくれます。

ドウツの作品は私たちに感動と驚きを与えてくれます。

ドウツの作品は私たちにアフリカのアイデンティティと多様性を示してくれます。

ドウツはこの世を去りましたが、彼の作品はいつまでも残り続けることでしょう。

日本でも人気の高かったドウツ

 
 
 
 
 
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ウエンツ 瑛士 Eiji Wentz(@eiji_wentz_official)がシェアした投稿

日本の芸能人、ウエンツ瑛士さんは公式インスタグラムに写真をアップロードして、次のようにつづってくれました。

「鮮やかな色彩と作品の中にある力強さ、そして無邪気さ。僕は彼の作品が大好きでいつも新作を楽しみにしてました。

この写真は彼が日本に来日される際に以前からお世話になってる翠波画廊さんに特別に場を設けていただいて会えた時の物です。

そして2枚目の写真は僕が購入して自宅に飾っている物。

彼が亡くなったと連絡をいただいたのはつい先日の事でした。
僕は世界中にある彼が残してくれた沢山の希望と共に、1人でも多くの人を笑顔にしたいです。
みんなにはそう強く願っていた人がいたという事を知っていただけたら嬉しいです。」

 

 

翠波画廊代表・高橋芳郎より

ドウツは逝ってしまいました

 

4月に開催したドウツ来日展は、52点の作品が売約の大成功に終わりました。

 

ほぼ同時期にベルギーでも個展が開催されたのですが、ベルギーの画廊からの誘いを断って、かねてより憧れていた日本に来るほうを選んでくれて実現したものです。

 

ドウツを初めて知ったのは、私が親しくさせていただいているモーリス・ユトリロ協会の代表エレーヌ・ブリュノさんが「良い画家がいるので紹介したい」と取り次いでくれた5年前のことです。

 

その後、ドウツが契約しているパリの画廊で初めて彼に会いました。

太陽が降り注ぐアフリカの大地を思わせる鮮やかで力強い作風とは打って変わって、笑みをたたえてこちらから投げかける質問に静かに答えるという感じでした。

 

その印象は二度目の再会となる日本でも変わることはありませんでした。

パリで成功したのちセネガルにアトリエを移し、時間の許す限り作品を制作しているのが自分にとっての至福なのだと話してくれました。

 

短い来日でしたが多くのお客様に作品をお求めいただき、画廊のスタッフともたくさん話をして、楽しそうだった姿が今でも目に浮かびます。

来日展を終え本国に帰る羽田空港で出国待ちの行列に並んで、見えなくなるまで笑顔で手を振ってくれました。

 

無事帰国したという連絡を受けてから10日ほど経ったある日、「お客様からいただいた注文に取り掛かっているのだけど体調を崩してしまって完成が遅れる、申し訳ない」という連絡がきました。

日本への長旅で少し疲れが出たのかなと思い、「急がないのでゆっくり休んだほうがいいよ」と返信しました。

ところがその後、病状が悪化して入院するほどになっていたようです。

 

残念ですが、ドウツは居なくなってしまいました。

しかし、ドウツが残した作品はこれからも多くの人を励まし、勇気を与えてくれるはずです。遠い国のドウツが、彼の作品とともにドウツを愛してくれた日本のお客様の心に残り続けてくれることを願ってやみません。

翠波画廊では、ドウツ作品のご用意がございます。
作品はこちらよりご覧ください。

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