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5月17日は何の日かご存じですか?
~国際反ホモフォビアの日(IDAHO)にちなんでLGBTの芸術家を紹介します

 

5月17日は何の日だかご存じですか?
母の日? 近いけどちょっと違います。母の日は第二日曜日なので、2018年は5月13日になります。
毎年5月17日は、国際反ホモフォビアの日(IDAHO)といって、同性愛嫌悪を非難する日とのことです。同性愛者活動家であるフランスの大学教授が提唱して、2005年から毎年5月17日に記念集会や街頭デモや映画祭などが開催されています。
そもそもの由来は、1990年5月17日に世界保健機関が同性愛を病気ではないと認定したことです。逆に言えば1990年まで同性愛は病気だと考えられていたわけですが、今ではそうではありません。
ちなみに2010年5月7日には、ポルトガルが同性結婚を合法化しています。
実は有名画家の中にも同性愛者がたくさんいます。今回はIDAHOを記念して、同性愛の画家について調べてみました。


最も著名な同性愛画家と考えられるのは、ダ・ヴィンチ(1452-1519)です。それ、ホント?という声が聞こえてきそうですが、しばしば同性愛者として告発・逮捕された記録が残っています。そしてダ・ヴィンチは生涯独身で、若くてハンサムな男性の弟子を常にかたわらに置いていました。


ダ・ヴィンチ「バプテスマのヨハネ」

 

実はミケランジェロ (1475-1564)も同性愛者だったと言われています。彼の場合は、多くの男性に対して送った恋文がいくつも残っています。60代のときに14歳の少年にラブレターを送っているので、年下が好みだったのかもしれません。もちろんミケランジェロも生涯独身でした。


ミケランジェロ「アダムの創造」

 

男性ばかりではありません。女性画家として初めてレジオンドヌール勲章を叙勲されたフランスの画家ローザ・ボヌール(1822-1899)は、男装をするレズビアンとして知られ、生涯を女性のパートナーと暮らしました。

 

ボヌール「横たわるライオン」

 

また、ピカソやエコール・ド・パリとの交流で知られる詩人のジャン・コクトー(1889-1963)。作家や画家としても活動したコクトーは、その作品の中で自分が同性愛者であることを明かしていますし、男性の恋人の存在も明らかになっています。もちろん生涯独身でした。一方で、女性との関係もあり、子供も作っています。

 

ジャン・コクトー「モナコ公国」

 

両刀使いと言えば、男性との結婚歴のある女性画家マリー・ローランサン(1883-1956)にも同性愛の傾向があったと言われています。離婚してから72歳で亡くなるまでの31年間は、21歳年下の女性シュザンヌ・モローと二人で暮らしました。

 

マリー・ローランサン「マッジ・ガーランドの肖像」

 

ピカソの描いた肖像画で知られる、美術コレクターのガートルード・スタイン(1874-1946)もレズビアンです。スタインは秘書の女性アリス・トクラスと恋人関係にあり、まるで夫婦のように二人で暮らしました。スタインは作家として、同性愛についてもしばしば書き残しています。

アイルランドの画家フランシス・ベーコン(1909-1992)もゲイでした。ベーコンは子供の頃から女装癖があり、ゲイ・コミュニティに出入りして、生涯に数多くの男性の恋人を持ちました。その模様は1998年の映画『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』に詳しく描かれています。ゲイであることをまったく隠そうとしなかった点でもベーコンは偉大でした。

アンディ・ウォーホル(1928-1987)もゲイだったと言われています。ウォーホルの場合は公表したわけではないですし、作者の内面は作品と無関係だとして私生活を明らかにしなかったのですが、存命当時から噂が絶えず、死後に研究が進んだ結果、ゲイであったことが明らかになっています。

 

アンディ・ウォーホル「The New Spirit(Donald Duck)広告より」

 

ウォーホルの友人のイギリス人画家デイヴィッド・ホックニー(1937-)もまたゲイでした。イギリスでは1967年まで同性間の性交渉が法律で禁止されていました。そこでホックニーはアメリカに移住するとともに、同性愛者の社会的認知を広げるために自らがゲイであることを公表したのです。

同時代のアメリカでは、表だって公表していたわけではありませんが、同じようにゲイで、しかも恋人同士だった2人の有名画家がいます。ロバート・ラウシェンバーグ(1925-2008)とジャスパー・ジョーンズ(1930-)です。当時のニューヨークの芸術家には同性愛者が少なくありませんでした。

しかし、一般レベルでは同性愛に対する偏見がまだ強い時代でした。エイズで亡くなったゲイのアーティスト、キース・ヘリング(1958-1990) に象徴されるように、不治の病と同性愛が結びつけられて忌避の対象となったこともありました。

 

キース・ヘリング「Pop Shop III」

 

キューバの現代美術家フェリックス・ゴンザレス=トレス(1957-1996)も、ゲイで、恋人をエイズで失い、かつ自分もエイズで他界しています。エイズの正確な知識が広まった現在では、ゲイとエイズのイメージが結び付けられることは少なくなりました。

ポピュラーなところでは、ムーミンの作者である女性画家トーベ・ヤンソン(1914-2001)も同性愛者で、同性のパートナーを持っていました。ムーミンに出てくるトゥーティッキ(おしゃまさん)は、この恋人の女性をモデルにしています。ヤンソンの住んだフィンランドで同性婚が認められるのは、彼女の死後13年経った2014年のことでした。

映画にもなった絵本『かいじゅうたちのいるところ』の作者であるモーリス・センダック(1928-2012)も同性愛者でした。2007年にパートナーの男性が病死したことをきっかけにゲイであることを公表しましたが、それまではずっと隠していたのです。

以上、15人の同性愛の画家を紹介しました。
かつて同性愛が今よりもずっと日陰の存在だった時代がありました。しかし現在では多くの国で同性結婚が認められるようになりました。
日本ではまだ法的に認められてはいませんが、渋谷区や宝塚市のように同性婚の証明書を発行する自治体も増えてきています。
同性でも異性でも、愛し合う恋人たちに幸福があるように願っています。

 

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