どんな画家が、紙幣の顏になっているの?(3)女性画家編
~マリア・ジビーラ・メーリアンからアンゲリカ・カウフマンまで
かつて紙幣の肖像のほとんどは男性が占めていました。
しかし、男女同権が叫ばれるようになり、女性の政治家や管理職が増えてくるに従い、紙幣の世界にもだんだんと女性が増えてきました。
紙幣肖像画への女性の登用は、ヨーロッパでは90年代頃から始まりました。
日本でも2004年から五千円札に女性作家の樋口一葉が使用されています。
今回は紙幣に登場する女性画家について調べてみました。
90年代になってすぐ紙幣に女性を採用したのはドイツです。
1991年から、植物や昆虫の絵で知られる女性画家マリア・ジビーラ・メーリアンを紙幣に使いました。
当時のドイツマルク紙幣は8種類ありましたが、女性と男性で4種類ずつを分け合うなど男女同権に配慮したデザインでした。
ゾフィーはコクトーと同じ年齢で、エコール・ド・パリの同時代人です。
画家のアルプといえば、夫のジャン・アルプ(1886-1966)の方が有名ですが、実は彼らは夫婦で共同制作を数多く行っています。
ジャンにとって妻のゾフィーは公私ともになくてはならないパートナーでした。
彼女が53歳で事故死した後、ジャンはショックのあまり鬱病になり、4年にわたって作品製作ができなくなったと言います。
ちなみに縦長紙幣は世界的にも珍しいもので、100フラン紙幣の彫刻家ジャコメッティ、10フラン紙幣の建築家ル・コルビュジエも世界的な芸術家として有名です。
フランスの印象派に影響を受けた、同国のスエーケン派の画家夫妻、アンナ・アンケル(アンナ・アンカー)とミハイル・アンケル(ミカエル・アンカー)の2人を1枚に採用しています。
なお、裏面に使用されているレリーフはアンケル夫妻とは無関係です。
当時のデンマークの紙幣は全部で5種類ありましたが、1000クローナ紙幣にアンケル夫妻を2人同時に使用することで、男性3人女性3人の合計6人で男女平等を実現していました。
エリートの家に生まれた師任堂は、幼少の頃から詩文や絵画の才能があり、19歳で嫁いでからは良妻賢母として、7人の子の教育に情熱を傾けました。
その生涯はテレビドラマ「師任堂(サイムダン)、色の日記」に描かれ、日本でもたびたび放送されるほどの人気になっています。
また、本人ばかりでなく息子の李珥(イ・イ)も儒学者として名声を博し、5千ウォン紙幣の肖像画として採用されています。当時のセレブですね。
アンゲリカ・カウフマンは、フランスのエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランと並ぶ、18世紀の人気女性画家です。
この時期のオーストリアの紙幣は6種類すべてが男性の肖像となっており、以前に採用されたアンゲリカ・カウフマンは、フェミニズム運動とは無関係に画家としての知名度が高かったことがわかります。
たとえば、2017年にリニューアルしたノルウェーの新しいクローネ紙幣は、海をテーマに一般公募を行い、表はノルウェーの代表産物、裏は海洋風景をモザイク模様にしたユニークなデザインとなりました。
前回紹介したムンクの紙幣は、残念ながら入手しにくくなりました。
日本でも2000年から発行されている二千円札では、表に沖縄の首里城守礼門、裏に源氏物語絵巻の図案が採用されました。
男性の政治家が中心だった時代から、男女平等の文化人の時代を経て、現在は人間中心の世界観への反省が高まっているのかもしれません。
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しかし、男女同権が叫ばれるようになり、女性の政治家や管理職が増えてくるに従い、紙幣の世界にもだんだんと女性が増えてきました。
紙幣肖像画への女性の登用は、ヨーロッパでは90年代頃から始まりました。
日本でも2004年から五千円札に女性作家の樋口一葉が使用されています。
今回は紙幣に登場する女性画家について調べてみました。
日本の五千円札(樋口一葉)
1991年から、植物や昆虫の絵で知られる女性画家マリア・ジビーラ・メーリアンを紙幣に使いました。
当時のドイツマルク紙幣は8種類ありましたが、女性と男性で4種類ずつを分け合うなど男女同権に配慮したデザインでした。
ドイツ500マルク紙幣(マリア・ジビーラ・メーリアン)
マリア・ジビーラ・メーリアン(1647-1717)の絵
スイスも、1995年から女性画家のゾフィー・トイバー=アルプを紙幣に採用しました。
ゾフィーはコクトーと同じ年齢で、エコール・ド・パリの同時代人です。
画家のアルプといえば、夫のジャン・アルプ(1886-1966)の方が有名ですが、実は彼らは夫婦で共同制作を数多く行っています。
ジャンにとって妻のゾフィーは公私ともになくてはならないパートナーでした。
彼女が53歳で事故死した後、ジャンはショックのあまり鬱病になり、4年にわたって作品製作ができなくなったと言います。
ちなみに縦長紙幣は世界的にも珍しいもので、100フラン紙幣の彫刻家ジャコメッティ、10フラン紙幣の建築家ル・コルビュジエも世界的な芸術家として有名です。
スイス50フラン紙幣(ゾフィー・トイバー=アルプ)
ゾフィー・トイバー=アルプ(1889-1943)「ダダの頭―ジャン・アルプの肖像」
1997年から使われたデンマークの紙幣もユニークです。
フランスの印象派に影響を受けた、同国のスエーケン派の画家夫妻、アンナ・アンケル(アンナ・アンカー)とミハイル・アンケル(ミカエル・アンカー)の2人を1枚に採用しています。
なお、裏面に使用されているレリーフはアンケル夫妻とは無関係です。
当時のデンマークの紙幣は全部で5種類ありましたが、1000クローナ紙幣にアンケル夫妻を2人同時に使用することで、男性3人女性3人の合計6人で男女平等を実現していました。
デンマーク1000クローナ紙幣(アンナ・アンケルとミハイル・アンケル)
アンナ・アンケル(1859-1935)「収穫」
ミハイル・アンケル(1849-1927)「海辺の散歩」
韓国でも2009年から、女性画家の申師任堂(シン・サイムダン)の肖像が5万ウォン紙幣に使われています。
エリートの家に生まれた師任堂は、幼少の頃から詩文や絵画の才能があり、19歳で嫁いでからは良妻賢母として、7人の子の教育に情熱を傾けました。
その生涯はテレビドラマ「師任堂(サイムダン)、色の日記」に描かれ、日本でもたびたび放送されるほどの人気になっています。
また、本人ばかりでなく息子の李珥(イ・イ)も儒学者として名声を博し、5千ウォン紙幣の肖像画として採用されています。当時のセレブですね。
韓国50000ウォン紙幣(申師任堂)
申師任堂(1504-1551)の絵
ちなみに昔の紙幣の肖像画には男性が多かったのですが、オーストリアはすでに1966年から女性画家のアンゲリカ・カウフマンを紙幣に採用していました。
アンゲリカ・カウフマンは、フランスのエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランと並ぶ、18世紀の人気女性画家です。
オーストリア100シリング紙幣(アンゲリカ・カウフマン)
アンゲリカ・カウフマン(1741-1807)「自画像」
なお、80年代から使われた新シリング紙幣では、画家枠は男性肖像画家のモリッツ・ダフィンガーに置き換えられました。
この時期のオーストリアの紙幣は6種類すべてが男性の肖像となっており、以前に採用されたアンゲリカ・カウフマンは、フェミニズム運動とは無関係に画家としての知名度が高かったことがわかります。
オーストリア20シリング紙幣(モリッツ・ダフィンガー)
モリッツ・ダフィンガー(1790-1849)「ナポレオン2世」
ちなみに近年は、統一ユーロ紙幣のように、肖像画を排したデザインが人気です。
たとえば、2017年にリニューアルしたノルウェーの新しいクローネ紙幣は、海をテーマに一般公募を行い、表はノルウェーの代表産物、裏は海洋風景をモザイク模様にしたユニークなデザインとなりました。
前回紹介したムンクの紙幣は、残念ながら入手しにくくなりました。
ノルウェー100クローネ紙幣
今回紹介した国でも、ドイツとオーストリアはユーロに移行し、デンマークとスイスは独自紙幣のままですが、どちらも肖像画ではないデザインに変更になりました。
日本でも2000年から発行されている二千円札では、表に沖縄の首里城守礼門、裏に源氏物語絵巻の図案が採用されました。
男性の政治家が中心だった時代から、男女平等の文化人の時代を経て、現在は人間中心の世界観への反省が高まっているのかもしれません。
日本の二千円札(守礼門と源氏物語絵巻)
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