クロード・モネ

19世紀後半から20世紀初頭に活躍し、その時代を最も代表したアーティストがクロード・モネです。
印象派を牽引し、印象派の中心的人物として名高い画家です。彼の作品ではとても綺麗な色彩が特徴の一つと言えるでしょう。
彼が活躍した時代では、新古典主義が主流でした。新古典主義に代表されるアカデミックな西洋美術において、筆の跡を残さず、滑らかにスムーズに、かつリアルにモチーフを描けることこそ、画家の技術力の高さとして評価されていました。
モデルは毎日同じ時間にポーズをとり、室内で絵画が描かれました。それまでは画家が顔料を調合して描く分の絵の具を作り出していたため、画家は容易に屋外で描くことはできませんでした。
しかし印象派の登場時、私たちが今日思い浮かぶような鉛のチューブに入った絵の具というものが登場してきました。そこでモネは屋外で作品を描いたのです。
しかしそこで問題になってくるのは、時間の経過とともに景色が変わってしまうということでした。時間が経つにつれ日は沈み、日当たりが変わってしまいます。
リアルに描くということを追求してきた西洋美術において、丁寧に時間をかけて描くことによって、モチーフが変化してしまい、リアルに描けないという一種の矛盾を孕んでいたのです。そんなことからモネはいかに短い時間で作品を描くかということを考え始めます。そこで生まれたのが筆触分割です。
筆触分割を用いることで、絵画を早く描けるようになりました。筆触分割とは、三原色の原色である色をキャンパス上隣に塗っていくことにより、目の錯覚で他の色に見えるというものです。また色を混ぜないので、色は明るいままになります。それこそモネの色彩が綺麗な所以なのです。


　彼が時間の変化によるモチーフの変化というものへの興味が絶えなかったことは彼の代表作からも分かります。彼は非常に似た構図とモチーフで何枚も作品を連作として残しています。


　現代でこそモネに代表される印象派の作風は綺麗な色彩と、その画風が評価されていますが、発表当初のフランスでは酷評の嵐でした。1874年の第一回印象派展ではフランスの芸術評論家のルイ・ルロワが風刺新聞に「制作途中のまるで印象のような作品であった」と乗せられるほどでした。ちなみに印象派という名前も元はここからきているのです。


そんなモネの作品は現代では2019年5月14日、連作「積みわら（Meule）」が歴史上高額落札額トップ10に入る、1億1070万ドル（当時約120億円）で落札されるなど非常に高い人気を誇っています。