絵画とは? 美術とは? アートとは?
絵画が美術の王者になった理由と歴史をたどる
私たちが美術館というとき、無意識に想定するのは壁に並んだ絵画です。
しかし実際の美術館には彫刻やインスタレーションもあります。
また、アートギャラリーを日本語にすると画廊や画商になります。
この場合もイメージされるのは第一に絵画です。
数多くの種類がある美術のなかで、なぜ二次元の平面芸術である絵画だけが特権的な地位を得ているのでしょうか。
絵画と彫刻の違い
一般的に美術といえば、三次元の彫刻と二次元の絵画の両方をさします。
しかし、美術といえばただちに絵画がイメージされることが多いのです。
理由は、絵画のほうが彫刻よりも圧倒的に数が多く、より広く普及しているからです。
なぜ絵画のほうが普及しているのかといえば、彫刻は石や木材などの素材を使って作るため高度なスキルが必要なうえ、その制作にも時間がかかるからです。
それに対して、絵画は比較的簡単に制作できるため、多くの人々によってさまざまな絵が描かれ、いろいろな場所に飾られることになりました。
最も古い絵画とは?
世界最古の美術といえば、一般には洞窟壁画があげられます。
かつてはフランスのラスコー洞窟の壁画が最も古いと言われていましたが、現在はスペインのいくつかの洞窟で見つかった壁画が最古のものだと考えられています。
これらの壁画は現生人類のホモ・サピエンスではなく、絶滅したネアンデルタール人によって描かれた可能性もあります。
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実はカラフルだったギリシア彫刻
時代を下ると、メソポタミア美術の土器、エジプト美術の仮面、ギリシア美術の彫刻など三次元の作品が数多く見つかっています。
その理由は、二次元の絵画よりも三次元の彫刻のほうが形として残りやすいからです。
ギリシア美術にも壁画などの絵画はありますが、経年劣化で顔料がはげ落ちてしまうため、その多くが失われてしまいました。
そもそもギリシア彫刻だって、当時は鮮やかに彩色されていたのですが、現在は色がすべて落ちた真っ白い石のかたちでしか見ることができません。
キリスト教美術は作者不明
中世以降の絵画は、世界の覇権を握ったキリスト教美術として、破壊を免れた教会などに残っています。
顔料や彩色方法の発達などもあり、当時の色彩を残したままの絵画も数多く見つかっています。
キリスト教美術が発達したのは、教育を受けていない人々への布教に絵画がとても効果的だったからです。
神の恩寵や奇跡を絵で見せることは、ただ語ることよりもずっと説得力がありました。
とはいえ、キリスト教においては新しいものを創造できるのは神だけだとされたので、絵画は神の創造した現実を写し取るだけで、あまりクリエイティブなアートとは見なされませんでした。
当時は作家のクリエイティビティや才能は考慮されなかったので、作者名もほとんど残っていません。
絵画の価格は材料費と手間賃から計算されるものでした。
大きい絵は小さい絵よりも材料も手間もかかりますから価格が高くなります。この値付けシステムは現在にも続いています。
また、作家のオリジナリティも尊重されなかったので、原画も複製画も同じ価格でした。
現在はオリジナル原画が価値のあるものとされていますが、それは近代以降の考え方です。
ルネサンスにおける芸術家の誕生
西洋美術の一大転換期であるルネサンス期においても、絵画と彫刻はまだ肩を並べていました。
ミケランジェロは「自分は画家ではなく彫刻家だ」との矜持を持っていましたし、レオナルド・ダ・ヴィンチも絵を描くだけでなく、彫刻の制作や楽器の演奏やイベントのプロデュースなどさまざまな芸術を手掛けていました。
しかし、ミケランジェロが不本意ながら絵画の注文を受けていたように、顧客のニーズは高価な彫刻よりもリーズナブルで場所をとらない絵画に傾いていったのです。
オランダで生まれた絵画マーケット
宗教改革が起きてバロック美術の時代になると、絵画偏重の流れは決定的になりました。
偶像崇拝の禁止を徹底したプロテスタントが優勢なオランダなどでは、美術作品のパトロン(顧客)が、貴族や教会から富裕層の市民へと移り変わったからです。
絵画のモチーフも、それまではキリストやマリアなどを描いた宗教画が多かったのですが、肖像画や風景がなどが多くなりました。
手頃な価格の絵画は、自宅に飾るための用途で、市民に飛ぶように売れるようになりました。
当時のオランダには画家が7万人いて、およそ500万点もの絵画が制作されたと考えられています。
とはいえ絵画の価格はピンキリであり、工房の大量生産で画家の労賃程度にしかならない数万円のものもあれば、数百万円から数千万円にもなるレンブラントのような有名画家の大作もありました。これは現在と同じですね。
ニーズがあるから絵画が芸術の中心になった
こうして近代以降、実際に流通する作品数の増大とともに、絵画が美術の中心となりました。
19世紀になると自らの内面を表現する芸術家も誕生しますが、これらのアーティストもその多くが表現手段として絵画を選びました。
画商の発達とともに、絵画のマーケットも広がり、絵画であれば簡単に売却して生活費を稼ぐことが可能になったからです。
彫刻となると、飾る場所も必要ですし、制作に時間もかかって高額になりますし、そう簡単には売れません。
絵画が美術の中心となり、美術館に行けばずらりと並んだ絵画を眺められるようになったのは、手軽に視覚芸術を楽しみたいという人々のニーズに合ったからなのです。
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