草間彌生のアイコン
~水玉(ドット)と網(ネット)と南瓜(かぼちゃ)
日本を代表する現代アーティスト、草間彌生。
2022年に93歳を迎え、車いすに座ったままメディアに登場することもありますが、その意欲に衰えは見えません。
最近では、ルイ・ヴィトンとの新たなコラボレーションが発表されました。商品は、2023年1月から世界中のルイ・ヴィトンストアで披露される予定です。
草間彌生とルイ・ヴィトンとのコラボレーションは今回が初めてではなく、10年前の2012年にも商品展開がありました。ルイ・ヴィトンのバッグなどに、草間彌生のアート作品の代表的なモチーフである「Dots Infinity(無限の水玉)」をあしらったものです。
草間彌生はなぜ水玉を描くのか?
コレクション」2012年
草間彌生が生まれたのは1929年。二度の世界大戦の戦間期で、ニューヨークでは株式市場の大暴落が起きるなど世界恐慌が始まった激動の年でした。美術史的にいえば、パリにおける「狂騒の20年代」が終わり、藤田嗣治がパリを離れようとしていた頃です。
長野県松本市の裕福な実業家の家に生まれた草間彌生でしたが、両親のしつけは厳しく家庭は常に緊張状態で、幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされます。精神の安定を得るために草間が描いたのが、ドットやネットなどの反復模様でした。
草間彌生は1957年に28歳で渡米するとき、もう日本には戻らないという決意を込めて、それまでの絵を焼却処分したそうです。そのため若い頃の絵はほとんど残っていないのですが、子どもの頃から水玉模様を繰り返し描いていました。
「無限の網」はいつ生まれたのか
アメリカで最初に認められた草間彌生の絵は、「Infinity Nets(無限の網)」シリーズでした。横幅が5メートル近くになる大きなキャンバスに、何度も繰り返される図形をびっしりと描き込んだ作品は、その模様が網の目のように見えることから、のちに「ネット・ペインティング」と呼ばれるようになりました。
ドット(水玉)を繰り返し描く手法と、ネット(網)を繰り返し描く手法は、似て非なるものですが、草間彌生はどちらも好んでよく使います。
草間彌生の強迫的な反復は、同時代のポップアートやミニマルアートにも影響を与えました。アンディ・ウォーホルやフランク・ステラ、ドナルド・ジャッドなどの反復技法は草間彌生にインスパイアされたものだと考えることができます。
それほど当時のニューヨークにおける草間彌生のインパクトは大きかったのです。
アンディ・ウォーホル《Marilyn Diptych》1962年
フランク・ステラ《Jasper’s Dilemma》1962年
草間彌生のかぼちゃの誕生
水玉や網に比べると、かぼちゃは比較的新しいモチーフに見えます。少なくとも、アメリカ時代の草間の有名な作品の中に、かぼちゃを見つけることはできません。
最も古いと思われるかぼちゃの絵は1981年の作品です。『別冊太陽 草間彌生』のコラム「かぼちゃへの愛」の中に写真を見つけることができました。
草間彌生がアメリカから日本に帰国したのは1973年のことですから、それ以降にかぼちゃの絵を描き始めたらしいことがわかります。
しかし、草間彌生の自伝『無限の網』によれば、「私がカボチャにはじめてお目にかかったのは、小学生の頃、祖父の広大な採取場に遊びにいったとき」で、それ以来ずっとかぼちゃに魅せられてきたそうです。
そして「私がまだ十代で、十七か八の頃かと思う。地方に県展があって、そこに応募したのはカボチャを描いた作品である。横に並べた大小数個のかぼちゃを日本画の題材で描いたものだが、評判になり賞を取った」とのことでした。
さらに、松本高等女学校を卒業した草間彌生は京都市立美術工芸学校に編入して日本画を学びますが、このときも「せっせとカボチャを描いていた」そうです。
その理由として、「私がカボチャに造形的興味を受けたのは、その太っ腹の飾らぬ容貌なのだ。そして、たくましい精神的力強さだった」と記述しています。
また、別の自伝『水玉の履歴書』でも「京都で絵の勉強をしていたときにも、よく南瓜の絵を描きました」、「南瓜は私の人生の伴侶です」と記しています。よほどかぼちゃを偏愛していたのでしょう。
その後、なぜかアメリカではかぼちゃを描くことがなくなりましたが、帰国後は再びかぼちゃに愛情を注ぐようになります。
今や、かぼちゃは水玉と並ぶ草間の代名詞となりました。最近のかぼちゃの絵を見ると、かぼちゃの表面に水玉を、背景に網を描いていて、「ザ・草間彌生」のおもむきがあります。
巨大なかぼちゃのオブジェ
かぼちゃは絵だけではなく巨大なオブジェのかたちで、草間彌生のアイコンとして機能しています。
ベネッセアートサイト直島には、「赤かぼちゃ」、「黄かぼちゃ」と呼ばれる巨大なオブジェがあります。海に面した桟橋に設置されていた「黄かぼちゃ」のほうは、2021年8月の台風で破損して撤去されていたのですが、2022年10月に復元されて再展示されています。
この草間彌生の黄色いかぼちゃのオブジェは大人気なので福岡市美術館をはじめ、世界中に存在します。
有名なところでは、韓国の超高級リゾート「Paradise City」にも設置されており、韓流ロックバンドFTISLAND(エフティー・アイランド)のミュージックビデオ「Paradise」の冒頭6秒でも、その姿を見ることができます。
また、草間彌生の自伝『無限の網』の表紙にも使われているので、ご覧ください。
FTISLAND – Paradise【OFFICIAL MUSIC VIDEO -Full ver.-】
https://www.youtube.com/watch?v=5L7u1i_iVro
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作品はこちらよりご覧ください。
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