いま、オークションで売れているのは何?
昨年のアート・オークション市場の売れ行き
2020年はコロナウイルスの年として記憶されるでしょう。
多くの人が外出を禁じられ、消費を控え、中国を除くほぼすべての国でGDPが低下しました。
アート業界も例外ではありません。
2020年の美術品オークションの売上は、2019年より24%も低下しました。これは過去5年間で最も低い売上高になります。
消費が低調だったのには、作品が少なかったせいもあります。
みなさんだって、自慢のコレクションをわざわざ買い手の少ないときに出品しようとは思わないでしょう。
唯一GDPが堅調だった中国は、アメリカを抜いて3年ぶりにオークション売上高で1位になりました。
オンライン・オークションを試したことはありますか?
対面でのオークションが次々と中止になるなか、オンライン・オークションに人が集まりました。
クリスティーズ、サザビーズ、フィリップスの3大オークション会社はオンライン・オークションに力をいれて、その売上は前年度の10倍以上になりました。
これまで、作品の実物を見ることができないオンライン・オークションでは高額なものが売れなかったのですが、2020年にオンラインで売れた作品の平均価格は、2019年のおよそ4倍になっています。
コロナ禍を契機に、オンラインで美術品を購入することへの抵抗が薄れているようです。
いま、最もよく売れているジャンルは何?
アート・オークション市場は、大きく3つのジャンルに分けられます。
一つは、ダ・ヴィンチやレンブラントのような、いわゆる古典絵画(オールドマスターズ)。
一つは、モネやルノワールといった印象派と、ピカソや藤田嗣治らの近代絵画。
最後の一つは、アンディ・ウォーホルや草間彌生といった戦後アートと、バスキアやバンクシーといった現代アート。
2018年までは印象派と近代絵画の売上が、戦後アートと現代アートを上回っていたのですが、2019年以降はその立場が逆転しました。
ここ数年のトレンドは、明らかに現代アートよりになってきています。
また、ロッカクアヤコやマシュー・ウォンのような新人は、ウルトラコンテンポラリーとして別枠にいれられていますが、これらの売上も2019年から急増しています。
おそらく買い手の年齢層が大きく変化してきているのでしょう。
この流れは今後も続くものと思われます。
いま、売れているアーティストは誰?
2020年に、各ジャンルで売れている画家を調べてみましょう。
古典絵画では、368点が落札されたレンブラントが、売上高で1位となりました。工房で作品を量産していたため、出品数が多いのが強みです。
2位はイタリアのバロック画家ティエポロが入りました。フレスコ画が多く、あまりオークションに出ないため、一点あたりの価格が高額になりました。
3位はアニメ『フランダースの犬』で有名なルーベンスでした。わずか11点の落札で、1位のレンブラントに迫る売上高をあげました。
印象派と近代絵画では、いつものようにピカソが1位になりました。もちろん全体で見ても堂々のトップです。
落札された作品数は2978点で、売上高はレンブラントの11倍以上に及びます。ピカソは作品数が多いため、オークション市場では圧倒的な強さを見せています。
2位は、中国で生まれてパリで活躍した中国人画家の常玉(サン・ユー)です。常玉は中国の藤田嗣治ともいえる存在で、エコール・ド・パリの画家の一人です。近年、中国で非常に人気が出ています。
3位は、2020年に最も高額で落札された作品の画家であるフランシス・ベーコンです。
4位は僅差でルネ・マグリット、5位には彫刻家のアレキサンダー・カルダーが入りました。
戦後アートも中国勢が強さを見せ、1位は中国で生まれて、後にフランス国籍を取得した趙無極(ザオ・ウーキー)でした。趙無極は、アジア人画家の高額落札記録の常連で、近年、最も売れている中国人画家といっていいでしょう。
2位は存命画家として最も作品が高く取引されているデイヴィッド・ホックニーです。
3位には、生前はホックニーと親交の深かったアンディ・ウォーホルが入りました。
4位のゲルハルト・リヒター、5位のロイ・リキテンスタインもランキングの常連です。
現代アートの分野では、ジャン=ミシェル・バスキアが不動の1位を占めています。ZOZOTOWNの社長の高額落札以来、バスキアの価格は高まるばかりです。
2位は、2020年に最も価格の上昇が激しかったバンクシーが入りました。作品を発表し続けるバンクシーは、話題性ではバスキアを大きく上回ります。
3位は、日本人の奈良美智です。奈良美智も過去10年で価格の高騰が著しい画家の1人です。オークション売上高では草間彌生を抜いて日本人トップとなりました。
ウルトラコンテンポラリーでは、中国系カナダ人のマシュー・ウォン、ルーマニア人のエイドリアン・ゲニー、アメリカ人のエディ・マルティネスがトップ3を閉めました。いずれも30代から40代の若いアーティストです。
近年、注目を集めている日本人のロッカクアヤコも8位に入る売上高をあげました。
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