そもそも絵って売れるもの?
異業種の方と出会って、自分の仕事が美術商であることをお伝えすると、 決まって「絵って、売れるんですか?」と聞かれます。 確かに絵は生活必需品ではありませんし、購入する機会がなかった人にとっては、 絵なんて買う人がいるんだろうか? と思われても当然です。 でも、当社では過去最も売れた年には2300点強の絵が売れました。 そして今でも多くのお客様に絵をお求めいただいております。 売れる絵は様々ですが、価格帯も購入目的も様々です。
長年、画商をしてきて多くのお客様に多くの絵をお求めいただきました。 そんな中で忘れられない思い出があります。
※ご購入いただいた作品ではございませんが、ご参考に。
絵に自身の思いを託して
私がこの業界に入って間もない頃の話です。あるご年配のご婦人が店にいらっしゃいました。 お声をかけると「ローランサンの絵はありますか?」と尋ねてこられました。 私が「ローランサンをお探しなのですね」と言うと 「ええ、孫に買ってやろうと思って」とおっしゃいます。 「お孫さんがローランサンをお好きなのですか」と聞くと「孫は生まれたばかり赤ちゃんですの」と言われます。 どういうことかとお聞きすると、 「嫁いだ娘に女の子が生まれたんだけど、本来はひな人形を買ってやるでしょ。 でも娘の住まいはマンションでひな人形を飾るスペースもないし、出し入れも大変でしょ。 だからひな人形の代わりにローランサンの絵を持たせてやろうと思って」とおっしゃいます。 また「私はローランサンが好きなので、孫に持たせてやれば、私がいなくなっても持たせてやった ローランサンの絵を見て私のことを思い出してくれるんじゃないかと思ってね。 それにローランサンを見ていて絵の好きな子になってくれるといいでしょ」と言うのです。
アートがもたらす本当の価値
翠波画廊で絵をご購入くださるお客様のほとんどが経済的に豊かで、一般的に富裕層といわれる方々です。 経済的に豊かな方たちの中には、高級車やブランド品のようなものにお金を使う方もいらっしゃるでしょう。 しかし、翠波画廊にいらっしゃるお客様の多くは、外に向かって自己主張することよりも、 自身の内面の豊かさを大切にし、そのためにお金を使われるような方々です。
本物の芸術作品に触れることは、内面を豊かにするだけでなく、周りの人たちへ、 自身の作品に対する思い出やそれを愛した人柄をも伝えてくれるものです。
芸術作品にはお金では買えない価値があります。 これからますます教養や人としての品格が求められる時代です。 ローランサンの絵を受け継いだお孫さんも、 絵を観るたびにお婆様の知性溢れる優しい人柄を偲ばれていることでしょう。 そして何より、ご本人も優しく思慮深い大人になっていることでしょう。 また、このエピソードは、私にとって芸術作品をお客様にお届けする 美術商の仕事の意味とやりがいを自覚することとなる素晴らしい出来事でした。
翠波画廊ではアートのある暮らしをご提案しています
一枚の絵画がもたらしてくれる憩いのひと時を
優れた芸術作品は、観る人の感情にそっと働きかけ、美的欲求を満たし、こころを豊かにしてくれるものです。 翠波画廊では、アートの魅力をお伝えし続けるなかで多くのお客様に数多くの作品をお届けしてきました。 翠波画廊のホームページでは、絵をご購入くださったお客様のお部屋を多数ご紹介しております。 あなたも一枚の絵を飾ることで、お部屋に華やぎと心休まる温かな空間へと変えてみませんか?
参照:翠波画廊HP“お客様のお部屋紹介”
芸術はよくわからない、アートは難しいなどと思っていませんか?
画廊オーナー髙橋による著書 『「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画』
絵画の価格はどうやって決まるのか、画商の視点でわかりやすく解説。
読後はアートを身近に感じて美術館に行ってみたくなるはずです。
新聞、雑誌でも紹介されました!
「サンデー毎日」
本とのふとした出会いで幼いころの自分を思い出す
幼いころ、絵画鑑賞が趣味だった母に連れられて、よく展覧会を訪れた。・・・
「月間アートコレクターズ」
世に美術市場を扱った書は数あるが、印象的なタイトルと装丁家として日本を代表する鈴木成一の手になる雰囲気ある装丁の本書は、翠波画廊を構える髙橋氏の書き下ろし。・・・
「北日本新聞」
セザンヌ、モネ、ルノワールやゴッホ、ピカソ、シャガールら近代美術の巨匠たちの絵の値段について考えたことはあるだろうか。・・・
翠波画廊代表・髙橋 2作目はアートで学ぶビジネス
未来のビジネスに必要なアートの力、気になりませんか? 画廊経営歴30年だからこそ語れる、アートで学ぶビジネスのヒントをご紹介。