「レオナール・フジタとモデルたち」展に行ってきました
千葉県にあるDIC川村記念美術館で開催中の「レオナール・フジタとモデルたち」展に行ってきました。
生誕130年の今年は、各地で藤田嗣治展が盛り上がりを見せていますが、今展では、フジタの描いたモデルたちとの関係や制作の経緯、出来事などを振り返りながら、初期から晩年までの約90点が紹介されています。
パリ画壇の寵児と呼ばれた乳白色の代表作はもちろんですが、今回は壁一面に展示された巨大な群像画が特に
圧巻でした。フジタは、女性や子供、猫を描く画家というイメージが強いかもしれませんが、ここでは猛々しい筋肉の男性像が見どころです。人物への鋭い眼差しと確かな観察力によって描かれた、生命力のみなぎる人物画は、息を呑むほどの迫力です。これらは長らく所在不明となっており、日仏共同の大規模な修復を経て蘇った
大作で、現在ではフランスの歴史的建造物に指定されているとのこと、必見です。
また、藤田の画家としての転機となったと思われる人物画「ジャン・ロスタンの肖像」(パリのカルナバレ美術館に所蔵)も見どころの一つです。これほどまでに一人の人物を、その人生そのものを体現したかのような描写で表現できるのは、美術史上フジタ以外には思い当たりません。ジャン・ロスタン氏とフジタが並んで写っている写真も展示されており、モデルと画家との関わりも興味深く
楽しめました。
「ジャン・ロスタンの肖像」のリトグラフの方は、翠波画廊で販売しているため、日々、目にしているのですが、油彩を堪能した後に改めて見ると、一層魅力的に感じました。
他にも個性的で魅力あふれる数々のモデルたちとの交流、そして何よりフジタの眼を強く意識することのできる貴重な展覧会でした。
DIC川村記念美術館「レオナール・フジタとモデルたち」展~2017年1月15日(日)