カシニョール、カトラン、ブラジリエ・・・
~現代フランス画家たちが生み出したキャラクターの意味って?
現代フランスの画家たちの作風には、共通する一つの特徴があります。
それは画家ごとに一つのモチーフを繰り返し描くことです。
例えばカシニョール(1935年~)といえば、誰もが大きな帽子を被った細身の女性像を思い浮かべるでしょう。
海をバックに物思いにふけったり、庭園や窓際の花のそばで横顔を向けたりする作品もあります。
風景画の場合も、どこか遠くに女性の姿が見えます。
同様にブラジリエ(1929年~)といえば馬。馬が群れを成して疾走している姿や、荒野を隊列で整然と歩く姿が繰り返し登場します。
またカトラン(1919~2004年)は、花瓶に入った卓上の花束を描き続けました。
赤やピンク、黄や青など、さまざまな色を駆使していますが、モチーフは常に同じです。
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ブラジリエ「青い騎馬行進」油彩15号 |
少し前の世代の画家、セザンヌやゴッホやピカソたちが、さまざまなモチーフを描き、それどころか時代ごとに作風を変遷させていったことを思うと、
現代の画家はこうした変化がないように見えます。
これは何を意味するのでしょう?
もちろんある作品の人気が出たために、同じような作品を描いて欲しいというニーズに応える意味もあるでしょう。もっと本質的には、これらは、理想の世界に住むキャラクターなのです。
ミッキーマウスや鉄腕アトムのようなアニメキャラを思い浮かべれば分かるとおり、彼らは架空の別の世界の住人であり、
わたしたちの現実の世界とは切り離されています。
その代わり見たいと思ったときにいつでも見られるのは「人」たち。不思議なことに、現実のモデルを繰り返し描くと、それは繰り返し描いた同じモチーフの絵といわれますが、ミッキーマウスや鉄腕アトムを繰り返し描いても、同じとはいわれません。
キャラクターとは描かれることで初めて生き続けることができるからです。
カシニョールが新作を発表すれば、それだけ作品の中の「彼女」は生き続けることができます。
セザンヌもゴッホもピカソもマティスも、現実を描くことこそが絵画の目的だと考えていました。
しかし現代の画家たちは、頭の中に理想であれ単なる空想であれ現実ではない空間を見出して、そこに自分だけのキャラクターを住まわせて描いていったのです。
日本画でも、東山魁夷は森の中の馬を繰り返し描きましたし、平山郁夫の月の砂漠のラクダは一番の人気モチーフでした。
シルクロードは現実に存在しますが、このとき絵の中のシルクロードは平山画伯の理想の別世界でした。絵画が表す現実ではなく理想の世界を描くようになったことと、キャラクターが登場することとは一つのことの裏表なのです。
心地よさと理想の世界を追求する現代作家の作品を私たちがこうして身近に楽しめるのも、こうしたキャラクターを通してなのでしょう。
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