大人気シルヴィ・ビュイッソン氏初監修の版画作品、残部僅少となりました
藤田嗣治 版画「猫を抱く少女」“Fillette au chat””
藤田嗣治作品集第4巻に掲載予定
藤田嗣治 Leonard Foujita (1886~1968)
20世紀初頭にパリへ渡り、エコール・ド・パリを代表する画家として活躍し、世界的に認められた画家、藤田嗣治。
渡仏後、社交的性格を活かしてピカソやモディリアーニなどの画家達と親交を深め、1919年には近代美術史上に大きな実績を残した画家の登竜門サロン・ドートンヌで初出品の6点が全て入賞するという快挙を成し遂げ、会員に推挙。
20年代には、藤田作品のトレードマークともなる滑らかな下地の上に繊細な線と薄塗りで描いた作品がグラン・フォン・ブラン(素晴らしき乳白色)と絶賛され、画家としてのゆるぎない地位を確立しました。
現代よりもっとヨーロッパが遠く感じられたであろう時代に、世界的画家として歴史に名を残した藤田の偉業は、日本の誇りであり、人々に夢と希望を与えてくれます。そしてその作品は現在も、日本、フランスのみならず、世界中の美術館に収蔵されており、高い評価と人気を誇っています。
「猫を抱く少女」 “Fillette au chat”
この作品は、藤田嗣治(レオナール・フジタ)の1952年頃に描かれた油彩の代表作「猫を抱く少女」をもとに、藤田嗣治の世界的権威で、鑑定家であるシルヴィ・ビュイッソン氏の監修により、 パリの歴史あるムルロー工房(現イデム・パリ)で制作されたリトグラフです。
藤田嗣治の鑑定家シルヴィ・ビュイッソン氏初監修作品
シルヴィ・ビュイッソン氏は、藤田嗣治研究の第一人者で藤田嗣治の鑑定家(海外のオークション会社ではビュイッソン氏の鑑定書が付かなければ出品できません)であり、藤田嗣治の作品集も編集発行しています。
今回の作品「猫を抱く少女」は、初監修作品ということもあり、シルヴィ・ビュイッソン氏が幾度となく工房へ足を運び、完成までに何度も色と質感を確認してくださったことにより、極めて完成度の高い作品として、世に送り出すことができました。特に猫の毛並と少女の髪の繊細な線の正確な再現に務め、また藤田の代名詞ともいえる乳白色の下地を再現するために、時間をかけて納得のいく色を追求し、完成に至りました。
今後シルヴィ・ビュイッソン氏監修の藤田嗣治作品集第4巻が刊行される予定ですが、複製版画(エスタンプ)では、君代夫人が生前に制作した3作品と、ビュイッソン氏監修作品のみが作品集に掲載予定です。
伝統あるイデム・パリ工房(旧ムルロー工房)で制作
イデム・パリ工房の前身であるムルロー工房はパリのモンパルナスで1880年から続く伝統あるリトグラフ工房です。
第2次世界大戦後、物資が不足する中、ムルロー工房に行けば冬でも暖かく快適な環境で仕事ができるとピカソ、マティス、シャガールなど今では巨匠と呼ばれる画家達が工房に集まってリトグラフ作品を手がけました。その後もムルロー工房の確かな技術をたよってビュッフェ、カシニョール、カトラン、ブラジリエなど有名画家が数多くのリトグラフ作品を制作しています。
今日ではイデム・パリと名前こそ変わりましたが、伝統に裏打ちされた確かな技術に変わりはなく、世界中から画家が集まり、グラフ作品が作られ、世に送り出されています。
藤田嗣治のエスタンプを制作するというのは、イデム・パリ工房では初めてのことでしたが、今回の作品は16色16版を使うことで、本来の油彩の繊細な線や複雑で深い色調を克明に再現しています。フランスには他にもいくつかのリトグラフ工房がありますが、一流のリトグラフ職人を抱えるイデム・パリならではの仕事です。