風景画の名品を選ぶならこの画家
ロシアにあるプーシキン美術館は、帝政ロシア時代の実業家セルゲイ・シチューキンとイワン・モロゾフという伝説的な二人をはじめとするコレクターたちが収集した秀逸な西洋絵画コレクションで知られています。
今年は、東京と大阪でそれぞれ「プーシキン美術館展」が開催。東京の会期は終了し、大阪の国立国際美術館で、10月14日(日)まで開催中です。
本展のテーマは「旅」。
旅の思い出を閉じ込めたスケッチブックをイメージしたという図録は内容も充実。
しかも図録の帯は4種類から選べるというものです。
図録の帯に選ばれる絵画、画家は、その展覧会を代表するのに相応しいに違いありません。
今回、帯にはモネやセザンヌといった有名な巨匠の他に、翠波画廊が取り扱っている画家マルケの作品も使われていました。
「空想と現実の行き交う風景」というコンセプトで、表裏、ルソーの絵とペアになっていました。
世界的人気のマルケ
日本での知名度は低いため、前述のモネやセザンヌなどに比べると、ご存知ない方も多いかもしれません。
日本ではマルケ展といった特集展示を目にすることもないのですが、海外では人気、知名度、評価も高い作家で、少し前にはパリ市立近代美術館で回顧展も開催されています。
アルベール・マルケは、1875年、フランスのボルドーに生まれます。
幼い頃から絵画への関心を示し、1890年にはパリに出て、装飾美術学校へ入学。その後、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)に移ったマルケは、ギュスターヴ・モローの教室に在籍し、生涯の友となる、マティスと出会います。
1905年のサロン・ドートンヌではマティスとともにフォーヴの画家として見られますが、すぐに現実に即した構成と穏やかな色彩による作風へと変化していきます。
明るい色彩を選びましたが、自然にない色を選ぶことはせず、印象主義に近く、抒情性を帯びた優しい風景を描くようになりました。
水の風景が好き
旅が好きなマルケは、フランス国内はもちろん、ドイツやイタリアといったヨーロッパ、モロッコやエジプト、ロシアなどにも訪れました。
特に水のある風景を好み、地中海沿岸の港や港町の風景を多く描きました。
ちなみにプーシキン美術館展で図録に使われた作品は、「パリのサン=ミシェル橋」。
マルケの好む水のある風景を高い視点から描いた作品でした。
もうひとつの特徴、視点の高さ
マルケの魅力的な特徴は、透き通った青と緑が織りなす独特の海の色と、その視点の高さにあります。できるだけ高いところから見下ろすように描くことで、画面には広々とした開放感が生まれ、観る人に穏やかさと心地よさを与えてくれます。
そんなマルケの代表的な作品が、実は翠波画廊にあります。
マルケの好む港町の風景が高い視点から描かれた、マルケの代表的な名品です。
戦禍を潜り抜けた人類の宝
作品が描かれた頃はちょうど第二次世界大戦の真っただ中で、フランスはドイツ軍によって占領されていました。
今回の作品が制作される前年、1940年に、マルケは作品を守るためにアルジェリアへ避難し、作品のサロンへの出品も拒否しています。
この激動の時代を生き抜き、その中で自身の作品を守りつつも、新たな作品を生み出す情熱を持ち続けたマルケ。
何かの歯車がひとつでも違っていれば、今回の作品は生まれなかったかもしれませんし、生まれても、ドイツ軍によって没収されてしまっていたかもしれません。
作品の背景に潜む歴史を考えると、たくさんの奇跡と想いが込められた芸術品ということのみならず、かけがえのない人類の宝といっても過言ではない作品だと言えます。
大変な時代を乗り越えた、この限りなく明るく澄んだ青を、ぜひご覧ください。
最高の風景画をお探しの方は、ぜひ、マルケをご覧ください。作品は画廊にございます。
お電話一本いただけましたら、ご指定の日時に、作品をお取り置きしてお待ちいたします。この機会にぜひ、極上の出会いをご検討くださいませ。
TEL:03-3561-1152<10:00~18:00 平日土>
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